コロナ禍によって働き方が大きく変化している今、企業では指示待ち組織から自律型組織へのシフトが急がれている。激変する時代を勝ち抜く人材を育成し、自律型組織を開発していくための秘訣は何なのか。「CHO Summit 2020 Winter」(2020年11月30日、12月4日オンライン開催)で、NewsPicksの平尾譲二氏に話を聞いた。聞き手は、日経BP総合研究所コンサルティング局長の小林暢子が務めた。(取材・文=浅井 美江、撮影=川田 雅宏)
NewsPicks Enterprise事業責任者/アルファドライブ 取締役 平尾 譲二 氏

HRテック導入の際に必要な「学びの目的」と「ゴール設定」

――近年注目が集まる自律型人材や自律型組織の育成に、オンライン教育を活用する企業が増えている一方、継続するのが難しいという声もあるようです。

平尾譲二氏(以下、平尾):オンライン教育を含めたHRテックの技術によって、仕事の効率化や質の向上ができることは素晴らしいと思います。ただ、あくまでツールなので使い方を考える必要があります。導入しただけではHRテックが持つ最大限の力を享受するのは難しい。社員の方々が継続して自発的に使うためには、運用の力が欠かせないと思います。

――どうすればよいのでしょうか。

平尾:私たちはHRテックを用いた自律型組織開発を提案しているのですが、導入の際、必ず行うのは学びの目的やゴール設定です。現状はこうなっているという「as is」と、将来こうなりたいという「to be」ですね。最初の段階で、学ぶ目的は何か、どんな人材をいつまでに何人くらい育てたいのか、人材が育つと会社がどう変わるのか――といった在りたい姿を最初に定義することが重要です。

――まずは「as is」と「to be」を定義する。その次にやるべきことは何でしょう?

平尾:2つあります。1つはコンテンツ。重要です。全方位を学ぶのもいいのですが、自社や自分の未来を考える力を満たすコンテンツや、他企業の課題を学んだ後に自分たちに置き換えたりするコンテンツなどは実践的です。もう1つは、学び合う場の提供です。自社の未来に対して、同じように考えている人たちが感じ合え、交流できる場をつくることで、一人ひとりのモチベーションが維持され、学習効果が上がります。

次世代リーダーの発掘にもつながる学びの場

――具体的な事例をお話しいただけますか。

平尾:私たちのサービス「NewsPicks Enterprise」をご活用いただいている東急株式会社様での事例を挙げましょう。「NewsPicks Enterprise」は「NewsPicks」というアプリの中にクローズドな環境を構築して、社内向けに学びとつながりの場を提供します。当初は「みんな発言するのだろうか?」と半信半疑で300人から開始されたのですが、予想を覆す盛り上がりで大幅に人数を拡大したそうです。

――盛り上がった要因は何でしょう?

平尾:「2050年に世界が憧れる街づくり」というビジョンに対して、様々な社員が意見を交わすうちに社内の意識がどんどん高まって、交わしたコメントをきっかけに他部署の会議に参加する社員が表れるなど交流も起きています。

 一般のニュースや動画の視聴も可能ですので、それらを元に多くの社員が自由に発言し合い、混ざり合って未来に向かっていくうちにリーダーシップを発揮する人も出てきます。次世代リーダーの発掘にもつながり、そういう人たちを集めてさらなる育成や交流の機会もつくれます。自社の業務とひも付ける機会が多くあるため、「知識が装着でき、仕組みも学んだが、自社では実践する機会がないので辞める」となりにくく、人材の流出を防ぐことにもつながります。

――なるほど、様々な効果が期待できそうですね。

平尾:「NewsPicks Enterprise」は、東急株式会社様のほかにもNTTドコモ様、イトーキ様など多くの企業にご活用いただいています。学びとつながりの場を上手に活用して、いち早く変化に気づき、認識して素早く対応できる自律型人材や組織の育成にお役立ていただければと思います。