日経BPは、2020年11月30日・12月4日の両日に「CHO Summit 2020 Winter~ニューノーマルを生き抜く人材戦略」(主催・日経BP 総合研究所、協力・Human Capital Online)を開催した。前回に引き続き、今回もオンラインでライブ映像を配信する形式のセミナーとなった。接触を避ける新たな働き方が「ニューノーマル」として定着しようとしている現在、人材マネジメントにはどのような戦略が求められるか――。人材マネジメントの先進企業のトップや最高人事責任者(CHO/CHRO)、有識者が次世代の人材戦略や具体的な取り組みを披露した。その中から、法政大学大学院の石山恒貴氏が登壇した基調講演を振り返る。(取材・文=浅井 美江、撮影=川田 雅宏)
法政大学大学院 政策創造研究科 教授 石山 恒貴 氏
法政大学大学院 政策創造研究科 教授 石山 恒貴 氏

日本の働き方に内包された問題点

 「人的資本経営に注目が集まる今、人事こそが経営の要であり、これまでにも増してCHO/CHROの存在の重要性が増しています」。法政大学大学院の石山恒貴 氏は、このように力説する。NECやGEなどで20年以上にわたって、人事部門に従事してきた実務キャリアを持つ同氏が、ニューノーマル時代の人事の在り方を語った。

 1つ目のテーマは「環境認識」。コロナ禍による環境の激変は、国内外の経営のみならず、雇用される側にも多大な影響を与えている。同時に、テレワークや在宅勤務の浸透によって、いつでもどこでも働けるようになった状況をいかにうまく活用するかという観点を、関西大学でメディア論を展開する松下慶太教授の学説を紹介しながら解説した。

 激変する労働環境下、長期的な課題としては日本の労働生産性の長期低落傾向がある。2018年の時点で、日本の労働生産性は「就業者1人当たり」「時間当たり」ともに、経済協力開発機構(OECD)の加盟国36カ国中21位。日本が得意とする製造業においても、1人当たりの労働生産性は2000年の1位を最後に、2017年には14位まで低下し続けている。

 この要因を、石山氏は日本の働き方の中に埋め込まれている長時間労働だと指摘。「例えば、社内プレゼンの資料作成が1枚ですむところを、100枚の厚さに仕上げるといった過剰サービスなど、働き方の非効率性が習慣化しています。海外出向先では、生産性を落とさずに労働時間を減少していたのに、日本に戻ったとたん残業するようになったという話もあります」。問題があるのは、個人の意識や行動というよりも、日本の働き方自体にあると説明する。

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