昨年から注目を集めている“ジョブ型雇用”。大手企業による導入も相次いでいるが、人事制度の刷新に踏み切らない企業もある。ジョブ型導入と運用を成功させるポイントは何か。ジョブを定める目的をどうとらえるべきか。

(写真:123RF)
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 ジョブ型雇用の導入が進み、ここにきて各社の特徴が見えてきた。導入事例では、ジョブディスクリプション(職務記述書)の対象者を管理職以上に限る企業もあれば、管理職から導入を始め、段階的に一般社員にまで広げるケースもある。

 一方で、職務給やジョブ限定の人事制度の導入に踏み切っていない企業も多い。ジョブ型人材と以前からの社員との賃金格差が出ること、ポストが空かない限り昇給が望めなくなることなどが、導入をためらう理由だ。

 こうした企業では、キャリア(中途)採用では業務を具体的に特定するが入社後の異動の可能性も残す、あるいは活躍分野を特定したコース別の採用を導入するといった方法で、現行制度を大きく変えずに専門人材の採用と育成を図る。こうした施策を「ジョブ型とメンバーシップ型の“いいとこ取り”」「ジョブとメンバーシップのハイブリッド運用」と称する企業もある。

 重要なのはジョブ型導入そのものが目的なのではなく、あくまでも経営戦略、そして人事戦略の手段であるということだ。企業の価値を向上し持続的に成長していくには、人材を資本と考えて一人ひとりの育成を支援する必要がある。これからは、従前のように社員のキャリアを会社が決めるのではなく、社員自らキャリアオーナーシップを持って働くことが望まれる。自律型キャリアをベースとし、会社は社員を支援することでイノベーション創出に寄与するわけだ。

 「ジョブとメンバーシップのハイブリッド運用」を進めるある銀行でも、人事面で最も注力しているのが「個々の強みや特性、志向に応じた多様なキャリアの実現が可能になるように支援すること」であるという。これによって、社員のモチベーションとエンゲージメントの向上を図ることを目的としている。