欧米でうまく機能する制度をそのまま日本に移植しても成功は覚束ない。人事制度もそれはしかり。大手企業で盛り上がるジョブ型ブームだが、そもそも欧米への「幻想」にとらわれている部分も少なくない。

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 鏡をのぞき込む黒髪の日本人女性。しかし映し出されたのは金髪で青い目の像。驚く女性は鏡の中の自分に問いかける。「Who Are You?」

 2020年4月1日に発行された書籍『人事の組み立て~脱日本型雇用のトリセツ~』表紙のイラストだ。2020年10月以来、「Human Capital Online」で大人気を誇ってきた連載「人事の組み立て」をまとめたもので、表紙のイラストは著者である雇用ジャーナリストの海老原嗣生さん自身がラフを描いた。

 イラストの横には「欧米のモノマネをしようとして全く違うものになり続けた日本の人事制度」というメッセージが躍る。本書の冒頭で海老原さんは「戦後75年の間に、脱日本型雇用の話は何度も花盛りとなったが、いつも『生半可な知識』でいい加減な話が繰り広げられ、結実せずに終わっている」と振り返る。欧米の雇用システムの表層を断片的に取り入れようとするが、その背景にある社会構造や歴史、それによって形成された人の価値観といったものを深く理解していないので、結局消化しきれずに終わる。成果主義やコンピテンシー、リーダーシップ開発、タレントマネジメントなど、形だけ取り入れようとして成果を発揮しなかった例は枚挙に暇がない。そして、その轍を踏むと懸念されているのが「ジョブ型」だ。