内ヶ﨑 茂/HRガバナンス・リーダーズ 代表取締役社長CEO
神山 直樹/HRガバナンス・リーダーズ パートナー
水口 剛/高崎経済大学 学長

社会のサステナビリティに貢献と同時に、企業価値を創造する経営を実現する。それには、CEOのリーダーシップをはじめとする5つの要素を整える必要がある。

 サステナビリティ課題は経営と直結し、企業価値を左右するテーマとなった。これは、機関投資家の行動からも明らかである。投資家は、企業とのエンゲージメントにおいてESGに軸足を移し、短期主義的な投資活動ではなく、より中長期的な企業の成長を後押しする建設的な対話を模索し始めている。

 一方で、国内外の機関投資家が懸念する課題の1つが、企業のサステナビリティ経営を支えるガバナンス体制である。2021年6月のコーポレートガバナンス・コードの改訂により、上場企業は取締役会の機能発揮、企業の中核人財におけるダイバーシティの確保、サステナビリティを巡る課題などへの対応を求められる。

 形式的な対応では不十分だ。取締役会を変革し、真にサステナビリティ経営を実現する体制構築が要る。つまり、企業の持続可能な成長を実現する「サステナビリティ・ガバナンス」の構築が急務である。

 サステナビリティ・ガバナンスとは、企業が(1)サステナビリティ・ガバナンス体制、(2)最高経営責任者(CEO)のサステナビリティ感度、(3)長期ビジョンと戦略、(4)マテリアリティ(重要課題)の特定、(5)ステークホルダーとのエンゲージメント――の5つの要素を全て満たすことで、サステナビリティ経営を実質的に機能させる「強靭な取締役会によるガバナンス体制」が構築されている状態を指す。

 言い換えれば、企業が社会のサステナビリティに貢献すると同時に、経済価値(企業価値)を創造する仕組みを構築し、持続的に成長するための「エコシステム」を、企業が実現しているということだ。

 ここでは日本企業のサステナビリティ・ガバナンスの実情を分析し、持続的な成長のために具体的に取り組むべき方向性を明らかにする。

目先の情報開示には対応も

 HRガバナンス・リーダーズは高崎経済大学の水口剛学長の監修の下、21年に「JPX日経インデックス400(JPX400)」構成銘柄を中心とした上場企業を対象に、先に挙げたサステナビリティ・ガバナンスの(1)~(5)に関する状況を調査した。調査に参加した38社から、日本企業の状況を把握した。その結果、サステナビリティ・ガバナンス体制の構築は全体として不十分と分かった。どうすればサステナビリティ・ガバナンス体制の構築が進むのか、5つの要素の相関を分析し、企業の取り組むべき方向性について示唆を得た。