人間は多様な脳のパーツを生かすことで、不測の事態への対応力を高めている。組織においても人の多様性を生かせるかどうかが、不確実性に対応する鍵となる。

 これまで人間の脳はしばしば、「男性的か女性的か」のように、二元論的に語られてきました。たとえば「男性は空間認識に優れ、女性は言語能力に優れている」というように。

 ところが近年、ほとんどの人の脳は、その領域をパーツで見ると、男性に多く見られる特徴と女性に多く見られる特徴が組み合わさった「モザイク」のようになっていることが分かってきました。1人の脳の中に、男性と女性それぞれの脳の特徴と言われる部分が入り混じって存在し、その人の個性を創り出しているのです。

 2021年3月、世界経済フォーラムが発表した「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は156カ国中120位と低い順位でした。

 世の中のジェンダー意識に、日頃さほど課題を感じないと言う人もいます。しかし、例えば「男性は仕事、女性は家事」のような性別役割分担意識は、子供の頃から徐々に慣らされて無意識化していきます。そのため、たとえ心の奥底に生きづらい気持ちが溜まっても、「そういうものだ」と捉えて認識できなくなる場合も多いように思います。

 人を性別で規定した枠にはめ込めば、その人のモザイク脳の片方は阻害され、能力を十分発揮できなくなってしまいます。

「男性育休100%」の先に

 丸井グループは約5000人いる社員の半数弱が女性です。女性活躍推進を糸口に、誰もが個性と能力を発揮しやすい組織を目指しています。14年に「女性イキイキ指数」を設定し、目標を具体的に定めて取り組みを可視化してきました。

 いまだ道のりは半ばですが、これにより男性社員の育休取得率が19年以降3年連続で100%になるなど、一定の成果を上げてきました。そこで21年、「新・女性イキイキ指数」を設定しました(下の表)。

■ 丸井グループの新・女性イキイキ指数(2021年~26年)
■ 丸井グループの新・女性イキイキ指数(2021年~26年)
出所:「共創経営レポート 2021」(丸井グループ)
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 特徴の1つは、ときに無意識化している人々の「性別役割分担意識の見直し」に言及してKPI(重要業績評価指標)を設定した点です。性別を問わず活躍できる環境はどのようにつくられるのか、その源流となる意識の持ち方にまでさかのぼり、共に考え行動する取り組みを進めます。