ステークホルダー資本主義の普及に伴ってガバナンスの在り方が見直されつつある。丸井グループが出した1つの答えはステークホルダーを取締役会に迎えることだった。

 丸井グループは2021年6月24日に開催した株主総会で、取締役会のメンバーを刷新した。人数を8人から6人に減らし、新たに3人の専門家を迎え入れた。

 社外から、「働く株主」として知られるみさき投資社長の中神康議氏とNPO(非営利組織)ネリス代表理事のピーター・ピーダーセン氏を、社内からは専属産業医でCWO(Chief Well-being Officer)を務める小島玲子氏を選任した。それぞれが持つ「長期エンゲージメント投資」「サステナビリティ」「Well-being」の知見を活用し、企業価値の向上を目指す。

 株主総会に先立ち、26年3月期まで5年間の新中期経営計画を5月に発表した。そこには、「ステークホルダーをボードメンバーに迎え、『利益と幸せの調和』に向けた共創経営を推進」とある。計画では事業戦略や資本政策を示すとともに、新たにサステナビリティとWell-beingに関わる目標を「インパクト」として定義した。CO2排出削減量や新規事業創出数など6つのKPI(重要業績評価指標)が並ぶ。

出所:丸井グループ中期経営計画

 青井浩社長に大胆なガバナンス改革の真意や、「利益と幸せの調和」という丸井グループが目指す将来像を聞いた。

3人の専門家を取締役に選任した狙いは。

青井浩・丸井グループ社長(写真:鈴木愛子、以下同じ)

青井社長(以下、敬称略): 世界では売上高や利益を上げる経営から企業価値を上げる経営へと変わってきている。我々は、重要なステークホルダーの利益が重なる部分を企業価値と定義し、これを大きくしようと考えた。その考えと、2年ぐらい前から米国で言われ始めたステークホルダー資本主義が重なった。ステークホルダーの共通の利益や幸せをつくり出せる経営をするにはどうしたらいいかをずっと考えてきた。

 もう1つ、我々の創業以来のDNAに「共創」という考え方がある。これをステークホルダーに当てはめてみると、例えば株主とは対話と言われてきたが、共創では対話よりもう少し踏み込んだやり方、一緒にビジネスをするといった具合だ。

 既にお客様とは単に買い物を通じてやり取りするだけでなく、実際に会議に参加していただいて店づくりのコンセプトやテナントなどについて考えていただいている。こういうことをもう少し高いレベルでできないかと考えている。

 そこで、ステークホルダーに取締役として入ってもらい共創を進めることにした。今回はその第1弾だ。まずはこのメンバーでやってみて取締役会がどう変わっていくか、丸井グループの企業価値がどう変わっていくかを見ていく。

 当社は6つのステークホルダー(顧客、取引先、社員、将来世代、地域・社会、株主・投資家)がいるので、究極的にはこれらのステークホルダーで構成される取締役会ができると、思い描いているコンセプトを具現化できるのではないか。