障害者の一般採用を推進する先駆的なロールモデル企業として注目される良品計画。2021年9月に就任した堂前宣夫新社長のもと、第二創業として「個店経営」を軸とした事業モデルで、障害者雇用の方針も大きく変えていくという。人事総務部の担当者に話を聞いた。

店舗ごとの採用を開始、障害者雇用は新たなステージへ

 同社は2009年に「ハートフルプロジェクト」を発足。障害の有無や種類に関わらず、皆が共に働く環境づくりや障害者の特性を生かすマネジメントに一貫して取り組み、障害者雇用を推し進めてきた。現在、294人の「ハートフル社員」と呼ばれる障害を有する社員の81.3%にあたる257人が精神障害者、うち発達障害者は59人にのぼる。現在の障害者雇用率は3.52%まで上昇。その離職率も徐々に低下しており、勤続年数10年前後、中には20年以上のメンバーもいるという。

 障害者雇用では、店舗勤務の人材を積極的に採用する。「2009年発足時は本部で働く事務職がほとんどでしたが、それでは仕事内容が限られてしまいます。店舗なら接客、品出し、在庫管理、レジなど多様な仕事があり、個人の希望や特性を考慮しやすいため徐々に広がっていきました。今では8割の方が店舗勤務です」と、同社人事総務部担当の成澤岐代子さんは話す。基本的に、ハートフル社員は週20-40時間勤務のパートナー社員として採用される。

成澤 岐代子(なるさわ・きよこ)氏
成澤 岐代子(なるさわ・きよこ)氏
良品計画 東京本社人事総務部 特定社会保険労務士 1996年より同社で個別労働問題および社会保険に関する相談指導、社内規定の作成、メンタルヘルス関連など人事労務全般の業務に携わる。2000年より障害者雇用全般を担当。2014年厚労省「地域の就労支援の在り方に関する研究会」、2016~17年発達障害者支援技法委員会(障害者職業総合センター)、2018年厚労省「精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会」の各委員を務める(写真提供:良品計画)

 ハートフル社員には年2回、人事評価を実施し、そのたびに各自の目標を確認する。「発達障害を持つ方は得意・不得意がはっきりしているので、得意なことやできることに取り組むことから徐々に仕事の幅が広がっていくこともあります。苦手といっていた仕事が、半期たってできるようになるケースもあります」(成澤さん)。苦手を克服し、ハートフル社員から一般社員へ社員区分変更された実績も出てきている。

 2021年9月に発表した同社の中期経営計画では「採用・育成の強化」を最優先課題として掲げ、各店舗が自立して運営や問題解決にあたる「個店経営」の考え方を打ち出した。それに伴い、店舗勤務のハートフル社員採用は店舗が主体となって取り組んでいく。「これまでは本部人事が主導し年2回、採用を行ってきましたが、今後は各店舗でハートフル社員も含むすべての人員計画を立て、それにもとづき採用も個店主導で計画、実施します。人件費も各店舗で組むことになります。これにより、実情に合った採用が行えることを目指しています」(成澤さん)。

 なお、今後ハートフルプロジェクトの対象を障害者本人だけでなく、障害を持つ子どもがいる社員や、シルバー社員など合理的配慮が必要な社員へと対象を拡大していく。様々なバックグラウンドを持つ社員が共に働くにあたり、どのように支えていくかを店舗ごとに考え実行する。

東京・銀座の並木通りに構える旗艦店「無印良品 銀座」(写真提供:良品計画)
東京・銀座の並木通りに構える旗艦店「無印良品 銀座」(写真提供:良品計画)