発達障害の人は苦手なことがあっても、強い集中力で独創性を発揮する人がいることでも知られています。発達障害の人にどんな能力があり、どんな業務が得意なのか。それらを、どうやって判断すればいいのでしょうか。この疑問について、発達障害者の就労支援に携わってきたKaienの鈴木慶太社長に尋ねました。

障害者雇用だけでなく、一般採用された社員の中にいる「大人の発達障害と思われる社員」への対応にも、発達障害者雇用の就労支援で実績のある御社のノウハウが参考になると考えています。御社では発達障害者一人ひとりの得意分野、その人の能力を生かせる仕事をどのように判断なさっているのでしょうか。

鈴木慶太氏(以下、鈴木):人事や上司としては、結果を出せるかどうかがポイントですよね。結果を出すためには、まず、本人の希望に合わせた仕事や職場を用意する必要があるでしょう。ただし発達障害の人は特性上、自分に合った職種や職場の在り方を自分自身で把握していないことが多くあります。そこで、当社では「服を試着するように、仕事を試す」場を設けています。一定期間、異なる仕事を体験してもらって、その人が持つ能力を生かせる仕事を見極める方法をとっています。

鈴木慶太氏<br>Kaien 共同創業者・代表取締役
鈴木慶太氏
Kaien 共同創業者・代表取締役
MBA取得のための渡米留学直前に、当時3歳の息子が発達障害であると分かり、帰国後の2009年に発達障害者の就労支援企業Kaienを起業。発達障害者の就労支援・人材紹介・教育事業等に取り組む。これまで1000人以上の発達障害者の就労支援に現場で携わる。

100種類以上の中から選んだ仕事を2週間ずつ体験

鈴木:当社では、経理・人事・総務・マーケティング・営業・プログラミング・印刷制作など、100種類以上の職業訓練プログラムを用意しています。この中から、本人に適性がありそうなものをピックアップして体験してもらいます。その体験を通じて本人が「これはできません」と言うこともありますし、「こういうことが得意なんだ」と自ら気づくこともあります。

 でも、得意なことが分かったからといって、例えば「システム部門がいいのではないか」などといった部署異動をするだけではうまくいきません。その人がいくら技術を習得しても、職場でのコミュニケーションの取り方の工夫や、本人が感じる納期のプレッシャー軽減の調整などを行わないと、実際にはそこで働くのは難しいのです。

 なぜなら、得意なことが分かっても、もともと本人が抱えている「苦手なこと」が消えるとは限らないからです。その人の能力を生かすには、アセスメント(その人の状態や課題を判断すること)や、周りの環境設定が重要です。

 しかも仕事の内容は、社会の変化に応じてどんどん変わっていきます。例えば自動車修理工の仕事でも、10年前と現在では道具も手順も違います。自分に合った仕事に就いたとしても、進化するノウハウを次々に習得することができるかどうか。それも踏まえて、本当に能力を生かせる仕事を選ぶことが必要です。

この記事は登録会員限定(無料)です。

登録会員お申し込み会員登録