(前編はこちら)

 前回に続き、障害者雇用での発達障害者就労支援に携わってきた鈴木慶太Kaien社長にお話を伺います。鈴木社長が推奨する「誰もが働きやすく、発達障害者の強みを引き出すユニバーサルな管理法」とはどういうものなのでしょうか。また、多くの発達障害の社員が働く同社の組織運営についても伺います。

発達障害社員の強みを引き出すには、誰もが働きやすい「ユニバーサルな管理法」を企業が取り入れることが大事だとお話しされています。これは、どういうものですか。

鈴木慶太氏(以下、鈴木):「どんな人にも分かりやすく適用できる、万人向けの管理法」のことです。決まった内容があるわけではなく、それぞれの企業で、社員の誰もが理解しやすいように工夫するコミュニケーションのノウハウでもあります。

鈴木慶太氏
Kaien 共同創業者・代表取締役
MBA取得のための渡米留学直前に、当時3歳の息子が発達障害であると分かり、帰国後の2009年に発達障害者の就労支援企業Kaienを起業。発達障害者の就労支援・人材紹介・教育事業等に取り組む。これまで1000人以上の発達障害者の就労支援に現場で携わる。

工程を「視覚化、構造化、明確化、数値化」する

 例えば、マクドナルドでのハンバーガーを作る工程がそうです。まず「××ハンバーガーを作る」という表示が目の前にポップアップして現れます。「バンズ(パン)を取り出して並べる」「レタス1枚とスライス玉ねぎ3切れをのせる」「××ミートをのせる」「××ソースをかける」などなど…。ポップアップの指示通りに作業を進めていくと、自然と目的のハンバーガーが出来上がる。どんな人でも同じようにハンバーガーを作れる仕組みです。

 各工程における作業が明確で「音が鳴ったら終わり」とか「この箱に一杯になったらMサイズです」というように、視覚化、構造化、明確化、数値化によって、やるべきことが仕組みとして、しっかり整理されている。このように管理されていると、人はあまりミスをしなくて済みます。

 アマゾンの倉庫も同じです。障害者雇用の人とアルバイトの人が同じ場所で働いていても、アマゾンが定めたルール通りに動いていくと、双方とも上手に働ける。こうしたワークフローが無駄なく、分かりやすく作られています。

 情報が整理されていて、誰もがストレスなく働けるこうした仕組みを、私は「ユニバーサルな管理法」と呼んでいます。各企業が業態に応じて「ユニバーサルな視点で誰もが働きやすい仕組みを作ろう」と工夫しています。日本でも、トヨタ自動車などの製造業では、ずいぶん以前から工程の自動化と細分化による効率的な生産管理を行っています。