多くの人事担当が頭を悩ませている「大人の発達障害」と思われる従業員のマネジメントや環境調整について、障害者雇用のノウハウが蓄積されている特例子会社から得られるヒントは多い。そこで明治安田生命保険相互会社の特例子会社である明治安田ビジネスプラスの取り組みを2回にわたり紹介する。前編は、職場での実務を中心とした取り組みについて。働く当事者とその当事者を支えるトレーナーに話を聞いた。

 明治安田ビジネスプラスは親会社である明治安田生命保険相互会社100%出資の特例子会社として2017年6月に設立。明治安田生命保険の業務効率化や福利厚生に貢献している。現在、約140名の障害を有する従業員が在籍しており、その6割強が発達障害者だ。

 設立以来、障害者メンバーの定着率(勤続1年以上)は95%前後を維持し、グループ会社統一の内容で行う従業員意識調査でもメンバーの84%が明治安田ビジネスプラスを「魅力ある会社」と回答。発達障害者がやりがいをもって、長く働き続けられる工夫にはどういったものがあるのだろうか。

全業務にメンバーを不安にさせない丁寧な手順書

 明治安田ビジネスプラスでは親会社の事務サポート、福利厚生を中心に現在4事業14業務を展開。入社4年目の盛田智秀さんはお客さまサポート事業で、データ入力を担当している。

「全国のお客様からいただいた感謝の声である『お客さまの声』を入力しています。私は一日に85件から多いときで100件、1時間あたり20件ほど入力します。その後メンバー同士でミスやもれがないかを、元の用紙と照らし合わせてチェック、修正したのち、トレーナーに提出するという流れです」

 入力項目には証券番号や支社コードなどの個人情報も含まれるため、正確性と能率がともに求められる。明治安田ビジネスプラスでは全ての業務に、図やイラスト等を駆使した手順書やフロー図を作成。工程一つひとつに対し、何をすればよいか明記することでメンバーが不安なく、質の高い業務を遂行できるようにし、生産性向上につなげるのが狙いだ。

 「マニュアルを見さえすれば、何か困ったこととかこんな時どうすればいいということに、ある程度対応できるようになっている。業務内容に変更が生じたらその都度改訂され、新しく加わったことなども確認できます」(盛田さん)。それでも判断に迷う場合は職場に常駐しているトレーナーにすぐ相談できる。盛田さんのチームは21人。そこに4人のトレーナーが配属されている。

 「トレーナーの方はいつも近くの席にいるので、作業をしている途中でおや?と思ったときにすぐ、これはどういうことですか、と質問ができます。その場で答えていただけることはすごく自分にとって仕事がしやすいです」と盛田さんは話す。

明治安田ビジネスプラス 業務部 盛田 智秀 氏
明治安田ビジネスプラス 業務部 盛田 智秀 氏
(撮影:川田雅宏)