【概要】 金融庁と東京証券取引所が策定した、企業統治に関する行動原則。取締役会の在り方、役員報酬の決め方などのガイドラインを定めたもので、企業統治指針と訳される。上場企業に対し、様々なステークホルダーと適切に協働しながら中長期的な企業価値向上を促す目的で、第2次安倍政権下2015年に策定された。約3年ごとに改定され、2021年6月11日に2回目の改定版が発表された。

 コーポレートガバナンス・コードは「株主の権利・平等性の確保」「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」「適切な情報開示と透明性の確保」「取締役会等の責務」「株主との対話」の5つの基本原則からなる。しかし同コードには罰則規定がないため、各企業は柔軟な解釈をしながら統治を行える半面、実効性の確保が難しい側面がある。

 そこで金融庁は同コードに先立ち、2014年に機関投資家の行動規範を定めたスチュワードシップ・コードを策定した。機関投資家に「企業経営の監視機能」を期待したのである。投資家は「物言う株主」として、上場企業がコーポレートガバナンス・コードに従った取り組みをしているか把握し、意見を伝える役割を担う。

 昨今、気候変動への対応や経営陣の多様性に関する企業の施策や情報開示が求められている。株主総会の不適切な運営や不正会計処理を指摘される企業もあり、コーポレートガバナンスがこれまで以上に重視されている。こうした背景から今回のコーポレートガバナンス・コード改定では、「取締役会の機能発揮」「企業の中核人材の多様性の確保」「サステナビリティを巡る課題への取り組み」の3つが柱となった。

効果 ステークホルダーの信認を得られ、企業価値が向上

 コーポレートガバナンス・コードを適切に実践した経営を行うことで、企業は投資家の信認を得られる。また株主、顧客、従業員、地域社会などの様々なステークホルダーに対して自社の価値を訴求し、中長期的な成長と競争力の向上を図ることができる。

 コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードが車の両輪のように機能することで、投資家と企業との建設的な対話が進む。この結果、中長期的な企業価値と投資家や最終受益者へのリターンがともに向上し、日本経済の好循環が実現することが期待される。

事例 新指針にいち早く対応する企業も

 コーポレートガバナンス・コード改定に伴い、2021年6月開催の株主総会で新指針への対応を公表した企業も出てきた。

 改定版の柱の1つ「取締役会の機能発揮」では、プライム市場(2022年4月に東証の新市場区分への移行に伴い発足)の上場企業に対し、取締役会の3分の1以上を独立社外取締役で構成することを求める。これを受け、近鉄グループホールディングスは社外取締役の増員を可決した。また取締役の知識や経験を一覧にした「スキル・マトリックス」開示に関して、ロート製薬は株主総会の招集通知に取締役候補者の経歴や選任理由を明記することで対応した。

 コーポレートガバナンス・コード改定版ではさらに、人的資本や知的財産に関して経営資源の適切な配分や投資情報の開示も求める。今後はこれらに対応した企業の施策が注目される。

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