【概要】 企業が組織の後継者を育成するための施策。組織内の重要なポジションを埋める可能性のある人材を特定し、育成するプロセスのことだ。組織の幹部だけでなく、事業の継続に必要な技術やスキル、能力、知識、資格などの継承も含まれる。ISO30414では「4.7.11 Succession planning」で定義し、「持続可能な労働力計画に不可欠なツール」と説明している。

 ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)の潮流の中で、投資家は短期的に高い利益を出す企業よりも、事業を安定的に継続して長く収益を生み出せる企業を高く評価するようになった。人や世代が入れ替わっても従前の競争力を確実に引き継ぎ、事業を継続できるようにするため、後継者を計画的に育成する施策が強く求められるようになった。

 ISO30414によれば、サクセッションプランの対象となる「才能」とは、組織が現在必要としている「才能」だけではない。将来の成長と事業計画に基づいて、組織の未来に必要となってくる才能や知識、スキル、能力などを考慮してサクセッションプランを策定するべきだと説いている。サクセッションプランに関して対外的な情報開示が推奨されている指標には、「後継者の有効率(Succession Effectiveness Rate)」「後継者カバレッジ率(Successor Coverage Rate)」「後継者準備率(Succession Readiness Rate)」の3つがある。

効果 経営の持続可能性を高める

 適切なサクセッションプランを策定・実行することで、後継者不在による事業の断絶や経営実効性の低下といったリスクを回避し、持続可能な経営が可能になる。さらに、優秀な後継者の育成を企業の重要施策と位置づけることで、企業の将来に必要な人材の定着やモチベーションの向上にもつながる。サクセッションプランに関する情報開示を積極的に行うことで、株主や投資家を含むステークホルダーを安心させ、企業価値を高めることができる。

事例 コーポレートガバナンス・コードでも言及

 東京証券取引所と金融庁が策定した「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」の「原則4-1.取締役会の役割・責務(1)」の「補充原則4-1③」に後継者計画に関する記述がある。「取締役会は、会社の目指すところ(経営理念等)や具体的な経営戦略を踏まえ、最高経営責任者(CEO)等の後継者計画(プランニング)の策定・運用に主体的に関与するとともに、後継者候補の育成が十分な時間と資源をかけて計画的に行われていくよう、適切に監督を行うべきである」と明記している。

 これを受け、東京証券取引所に上場している企業の多くがすでにサクセッションプランを策定・運用している。統合報告書やホームページなどでサクセッションプランに関する情報開示を行っている事例も多数見られる。

参考記事