【概要】 2011年に設立された国際標準化機構(ISO)の専門委員会。ヒューマンリソースマネジメントに関する国際規格を専門的に検討・開発・発行する組織だ。企業や組織の人的資本を評価するための国際標準となるべき国際規格「ISO30414:ヒューマンリソースマネジメント-内部及び外部人的資本報告の指針」を発行している。TCは「Technical Committee」の意。

 企業の人的資本を評価する際、企業ごとにばらばらな指標と基準で評価すると、客観性が失われると同時に企業間の比較もできなくなる。それでは不便なので、人的資本を客観的に評価し、比較可能にするための世界共通の評価指標とその基準が求められるようになった。

 ISO以外にも、人的資本の評価に関する国際的な指標を打ち出している団体はある。しかし、TC260のように人的資本に特化し、人的資本の評価に関わる内容をトータルにカバーする指標と基準を発行している組織はほかにない。TC260は国連のSDGs(持続可能な開発目標)とも連携。TC260の発行するISOの国際規格が統一された指標と基準として浸透しつつある。

 2021年8月現在、TC260には米国や英国、カナダを含む33カ国が積極的なメンバー(Participating Members)として参加し、日本を含む25カ国がオブザーバー(Observing Members)として参加している。

効果 国際的に通用する情報開示が可能に

 TC260が発行している国際規格を活用することで、人的資本経営の方向性や活動内容、情報開示などを国際的な基準に合わせることができる。

 TC260が発行している国際規格の中でも「ISO30414:ヒューマンリソースマネジメント─内部及び外部人的資本報告の指針」は、企業や組織の人的資本の情報開示に求められる指標をまとめた規格だ。多くの企業や組織が、統合報告書やHRリポートを作るための指針として利用している。ISO30414に準拠することで国際的に通用する情報開示が可能になり、投資家からの評価も得やすくなる。

 日本企業がISO30414を活用すれば、国際社会から求められている人的資本の情報開示の内容やスタイルを知ることができる。

事例 2021年3月にドイツ銀行がISO30414の認証を取得

 TC260は24本の国際規格をすでに発行し、8つの規格を開発中だ(2021年8月現在)。前述した「ISO30414」が人的資本の評価に関する11の大きな領域と評価項目を規定している。

 この個々の領域と評価項目について、さらに詳しく解説する規格が別途発行されている。例えば「ISO30405:採用のガイドライン」「ISO30409:労働力のプランニング」「ISO30415:ダイバーシティとインクルージョン」「ISO30407:採用あたりのコスト」などだ。

 ISO30414に準拠した人的資本経営を導入するためのコンサルティングや、企業の人的資本経営がISO30414に準拠しているかどうかを第三者の視点で独自に評価・認証するサービスの提供も始まっている。2021年3月にはドイツ銀行がいち早くISO30414の認証を取得したと発表し、ISOのロゴが入ったHRリポートを発行している。

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