【概要】 人事分野におけるオンボーディング(on-boarding、もとは飛行機や船に乗り込む意味)とは新卒・中途採用問わず、新たに採用した人材を配置し、組織に定着させ、戦力化させていくまでの一連の施策を指す。新型コロナウィルスへの対応でリモートワークが常態化する中、採用や研修などのほとんどがオンラインに移行せざるを得なくなったが、その効果をデータで可視化しPDCAサイクルを回していこうとする取り組みも始まっている。

 近年、オンボーディングが注目される背景には、若手社員の早期退職を防止し、短期間に戦力化する必要性が高まっていることがある。特に新卒・中途を問わず新入社員の場合は、適切な配属と、上司や同僚とのコミュニケーションの深化が鍵となる。

 従来、新入社員の配属は人事部門が主体となって行なっていたが、最近では、配属先候補と本人の性格のフィットスコアを算出して配属に活用しようとする企業もある。また、リモートワーク環境で新入社員を孤立させないコミュニケーションの工夫として、同じ職場のメンバーが彼ら彼女ら一人ひとりをケアする担当として就き、新入社員と日程を合わせてオフィスに出社したり、業務だけでなくキャリアの相談もできる1on1に取り組んだりする企業も増えている。

効果 離職防止からエンゲージメント向上へ

 社員本人の納得感が高い配属は「このポジションの仕事によってキャリア形成ができる」という成長実感につながり、パフォーマンスや従業員エンゲージメント向上をもたらす(3分間キーワード解説「従業員エンゲージメント」を参照)

 2020年から2021年にかけて、新入社員のオンボーディングに関する様々な調査結果が発表されているが、リクルートマネジメントソリューションズが実施した調査[注]によると、20年4月に入社した1年目社員の職務適応・職場適応に影響を与えたのは、本人の「プロアクティブ行動」に次いで「上司伴走支援」と「職場の心理的安全性」だった。また「入社1年目の上司の特徴」として挙げられた項目のなかで、20年入社が19年入社より高かったのは、「どんな内容であっても否定せず、あなたの話を受け止めてくれる」「仕事の意義や価値を分かりやすく伝えてくれる」「職場や他部署の人との接点を作ってくれる」だった。(3分間キーワード解説「心理的安全性」を参照)

[注]「新卒入社1年目オンボーディング実態調査」(リンクはこちら)

事例 部署と従業員の相性を定量化し、ベストマッチを探る

 ソフトバンクでは、部署と個人の相性を定量化することを目的に本人の仕事に関する適性や価値観をAIで数値化するツールを導入。500人超の新入社員を迎えた2020年度から本格運用を開始した。入社前の段階でデータを収集するため、法務やセキュリティ部門との連携も重要だった。この定量的な効果はさらに1~2年をかけ新入社員の活躍度で検証していくという。

参考記事