コロナ禍における在宅勤務の拡大で「健康経営」というキーワードが、これまで以上に重要性を帯びてきている。「CHO Summit 2021 Spring」(4月27~28日にオンライン開催)に、クラシエ製薬の副社長を務める草柳徹哉氏が登壇。健康経営を支援するために提供している無償のサービス「オフィス漢方セラピー」を紹介した。(取材・文=岩辺 みどり、撮影=川田 雅宏)
クラシエ製薬 副社長 草柳 徹哉 氏

健康経営を支援するために「健康情報コラム」を無償提供

 社員の健康づくりを企業経営の一環と捉える「健康経営」を、多くの企業が取り入れるようになった。経済産業省は、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業などの法人を顕彰する「健康経営優良法人認定制度」を2017年にスタート。2021年には、大規模法人部門で1798法人が、中小規模法人部門で7935法人が認定されている。

 コロナ禍でテレワークが広がる中、コミュニケーション不足による孤独や気分の落ち込み、運動不足などが深刻になりつつある。リモート環境で働く社員の心身の健康を維持するためには、企業側により一層の工夫や努力が求められるだろう。

 こうした状況の中、経営戦略において「働き方改革」と連動して「健康経営」を重視する企業が増えている。クラシエ製薬で副社長を務める草柳徹哉氏は「コロナ禍による在宅勤務は一時的なものではなく、アフターコロナになっても継続していくもの。だからこそ、従業員の健康を長期的に維持していくことは極めて重要な課題になる」と強調する。

 こうした健康経営への取り組みを支援するために、クラシエ製薬は「オフィス漢方セラピー」というサービスを無償で提供している。同社が長年培ってきた漢方の知識と経験を「健康情報コラム」としてまとめたものを、企業が社内報に転載できるというサービスだ。2018年1月からサービスの提供を開始し、現在165社の企業が利用中だという。

社内報の形態に合わせて印刷版・ウェブ版・配信版を用意

 クラシエ製薬が主力事業としている漢方薬は、医学知識のなかった太古に誕生。草や木、動物などの自然素材(生薬)を原料としていることが大きな特徴だ。例えば、風邪の薬としてよく用いられる「葛根湯」は、2000年前に作られた漢方薬。葛根のほかに生姜(しょうきょう)や桂枝(けいし)など合計で7種の生薬を組み合わせて作られている。直接的に症状を抑える西洋医学に対して、人の体を「気」「血」「水」の3つで捉えて、それがバランスよく巡ることで体全体の調子を整えるように働きかけるのが漢方医学なのだ。草柳氏は「長年の経験則、すなわち臨床の積み重ねによって生まれたのが漢方医学だ」と説明する。

 こうした漢方医学の知識を掲載した「健康情報コラム」は、春夏秋冬の季節ごとに記事を提供。それぞれの季節の悩みや、従業員の年齢・性別など、顧客企業のニーズに合わせて幅広いコラムを用意している。2021年は「こころの漢方」「カラダの漢方」「季節の漢方」「新しい生活方式の漢方」という4つのシリーズのそれぞれのコラムを季節ごとに提供。合計16テーマを用意する計画だという。例えば、テレワークの継続によって心配な不眠やストレスへの対策や、パソコンを長時間使うことによる目の疲れや肩こりをどう改善するのかといった内容もある。

 顧客企業の社内報の形態に合わせて印刷版(A4判とA5判の縦・横)とウェブ版(画像ファイル)を用意。手間のかかるリサイズやデータ形式の変更は一切必要ないという。このほか、外部リンクでPDFファイルまたは画像ファイルをダウンロードできる配信版も提供する。

 会員制ポータルサイトでは、約80種のコラムの中から好きなものを選んでダウンロードできる。各コラムは「みんなのお悩み」「女性の方向け」「ご年配の方向け」などカテゴリーごとに整理されている。風邪や花粉症、お酒を飲むシーンが多い季節などシーズンごとに事務局からおすすめコラムを紹介する機能も備えている。草柳氏は「漢方の『智慧』でお客様の健康経営を支援していきたい」と語る。