働く環境が対面とリモートワークのハイブリッドになる中、従業員の公平感と満足度を維持する仕組みを整えることは、企業にとって急務の課題になっている。従業員視点で開発された最新のプラットフォームをグローバルに提供する米サービスナウ。日本法人で事業部長を務める壹岐隆則氏が「CHO Summit 2021 Spring」(2021年4月27~28日にオンライン開催)に登壇。働く環境の変革に対応しつつ、従業員の生産性とエンゲージメントを高めるための取り組みを解説した。(取材・文=岩辺 みどり、撮影=川田 雅宏)
ServiceNow Japan ソリューションセールス統括本部 人事総務ソリューション事業部 事業部長 壹岐 隆則 氏

ハイブリッドなワーク環境で従業員体験の質を向上する

 コロナ禍が落ち着いた後も、リモートワークと対面のハイブリッドな働き方は定着していくと見られている。このような環境でも、従業員が公平感を持って仕事ができるのだろうか。例えば、コミュニケーションや業務のしやすさ、適切なマネジメントが実現できるかどうか、今一度見直す時がきている。ServiceNow Japanの壹岐隆則氏は、同社の調査結果を示しながら、企業が直面する課題を次のように語った。

「92%の経営者がコロナの影響で仕事の進め方の見直しを余儀なくされたと考えていることが明らかになった。大半の企業が、これからの働き方を模索している」

 壹岐氏によると企業は今、主に4つの点で新しい働き方を模索しているという。(1)従業員がどこで働いていても素晴らしい体験を提供できるようにする「ビジネストランスフォーメーションの加速」、(2)部門やシステムをつなぐことによる「新しい働き方の再構築」、(3)どこでどのように働きたいかを支援することによる「従業員の生産性の向上」、(4)従業員がワクチン接種を受け、職場に戻れるようにする「安全で効率的な職場の管理」――の4つだ。

 これらを踏まえて、壹岐氏は「シンプルで、多くの部門や人とつながることができ、そしてセルフサービスで自己解決できる、そのような従業員体験の構築が必要だ」と指摘する。同社の調査では、今後の働き方について65%の従業員がデジタルと対面のハイブリッドな従業員サービス活用を希望しており、リモートワークのみの働き方を希望している従業員はわずか15%にすぎないという。壹岐氏は「一人で仕事をこなすためのリモートワークは広がりつつあるが、同僚と共同作業を行うための環境整備はうまくいっていないのが現状だ」と指摘する。

「ハイブリットワークプレース」に求められる3つの要件とは?

 こうした課題を解消する「ハイブリットワークプレース」に求められる要件として、壹岐氏は(1)従業員に情報が届いたかを確認できる仕組みがある、(2)マネジャーが適切に部下をマネジメントできる、(3)オフィスや事業所の稼働率を可視化できる――の3つを掲げる。これらの要件を満たすのが、グローバルで6900社以上の企業にクラウドサービスを提供してきたServiceNowのソリューションだ。

 (1)では、必要な情報を必要な人に必要なタイミングで届ける機能を提供する。どのような情報をどのような人に届けるのかというコミュニケーションプランをあらかじめ設定しておくことで、自動的に情報発信する仕組みだ。発信された情報に対する従業員のアクセス状況も確認できる。従業員が主体的に情報を検索する際に、AI(人工知能)を組み込んだ検索機能で適切な情報を表示する機能も備えている。

 (2)では、業務プロセスをデジタル化することで、複数の部署・人・システムを横断したタスクのやり取りを自動化する機能を提供する。例えば、従業員が長期欠勤した場合、勤怠システムと連携して、一定の日数以上欠勤が続いたことをトリガーとして、上司のタスクに面談の依頼を出すことができる。人事部では、そのプロセスと進捗状況をリアルタイムに確認できる。

 (3)では、座席や会議室、ビジターの入館管理など、オフィスの様々な施設・設備を一元的に管理する機能を提供する。オフィスの稼働率が可視化できるようになり、統廃合やレイアウトの変更を行う際の判断材料にできる。新型コロナウイルスの罹患(りかん)者が発生した場合、その従業員が利用していた座席や会議室の情報を基に、濃厚接触者を自動抽出したり、消毒のタスクを管理したりすることも可能だ。

  壹岐氏によると、同社のソリューションを活用してビジネストランスフォーメーションを加速させたことによって、254%のROI(投下資本利益率)を達成し、3年間で700万ドル以上のコスト削減効果を生み出した企業があるという。このほか、パソコンだけでなくモバイル機器でも仕事ができる環境を用意し、従業員からの問い合わせを50%削減できた飲料業界の顧客企業もある。エネルギー業界の顧客企業では、部門横断のプロセスの合理化によって、年間で従業員の労働時間を合計で4400時間削減できたという。