日本経済新聞社と日経BP総合研究所は、2021年4月27日・28日の両日に「CHO Summit 2021 Spring 変わる組織、変わるリーダー~ニューノーマルの人材戦略~」(協力・Human Capital Online)をオンラインで開催。人材マネジメントの先進企業のトップや最高人事責任者(CHO/CHRO)、有識者が次世代の人材戦略や具体的な取り組みを披露した。その中から、楽天グループとユニリーバ・ジャパン・ホールディングスの人事リーダーが登壇したパネルディスカッション「『個の幸せ』を目指すウェルビーイング経営~エンゲージメントを高める企業組織の再設計」を振り返る。モデレーターは、日経BP総合研究所Human Capital Online編集長の原田かおりが務めた。(取材・文=浅井 美江、撮影=川田 雅宏)

ウェルビーイングの向上はビジネス成長のカギ

 「すべての人が笑顔で 自分らしく生き 豊かな人生を送る社会を創る」ことを自らの使命とし、自分も含めたすべての人が「幸せに働く」ことを目指していると話すユニリーバ・ジャパンホールディングス(以下ユニリーバ・ジャパン)取締役人事総本部長の島田由香氏。「ウェルビーイングがもたらす効果は、海外で実施された様々なリサーチから検証が進んでいる。生産性やイノベーションを上げるだけでなく、欠勤や退職の減少にも有効」と解説する。さらには、ウェルビーイングが高い人は免疫力も高いとされ、「ウェルビーイングが高いと、ビジネス成長は絶対に起こる」と強調した。

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 取締役 人事総務本部長 島田 由香 氏

 島田氏がウェルビーイングを推進する上でフォーカスしているのがマネジャーの力量を高めることだ。「マネジャーが社員をどのようにサポートしていくかはとても重要。心理的安全性の意義を理解しているマネジャーは、リモートであろうがなかろうが相手との信頼関係が築ける」と語る。

コミュニケーションを醸成する「む・き・つ」

 島田氏は、どの部署にいてもどんな状況でもうまくコミュニケーションしていく人を観察していて気づいたことがあるという。それは「む・き・つ」というポイントだ。「む」は「向く」。安心・安全な場を作るために、相手に意識を向けマインドフルで向き合うこと。「き」は「聴・訊く」。相手のニーズを理解するために、耳と目と心を使って聴き、相手に問いかけること。そして「つ」は「伝える」。信頼関係を築くために想いと信念を届け、相手の認識を確認すること。この3つは真のコミュニケーションの鍵として、必ずマネジャーに伝えているという。

 島田氏がウェルビーイングへの取り組みとして2016年にスタートさせ、注目された人事施策「WAA(Work from Anywhere and Anytime)」をさらに発展させ、昨年7月、新たに「WAAP(Work from Anywhere & Anytime with Parallel careers)」を開始した。WAAは社員が対象だが、WAAPでは社外に門戸を開く。ユニリーバ・ジャパンのオフィシャルサイトに公開された業務内容に、副業・兼業の形やインターンシップでチャレンジできるという施策だ。コロナ禍でのスタートだったが、反響は予想以上。「海外を含めて多数の応募があった。想定外だったのが20~30歳代からの応募が85%だったこと。副業を経て採用に結びついたケースもあって、お互いがウィン・ウィンになっている。採用コストの節減にもなった」と確かな手応えを感じたと話す。

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