日本経済新聞社と日経BP総合研究所は、2021年4月27日・28日の両日に「CHO Summit 2021 Spring 変わる組織、変わるリーダー~ニューノーマルの人材戦略~」(協力・Human Capital Online)をオンラインで開催。人材マネジメントの先進企業のトップや最高人事責任者(CHO/CHRO)、有識者が次世代の人材戦略や具体的な取り組みを披露した。その中から、みずほ信託銀行の副社長を務める江原弘晃氏が登壇した基調講演「若手リーダーが自然に育ち頭角を現すシカケ~『やりたい仕事で成長できる』場をつくる」を振り返る。(取材・文=浅井 美江、撮影=川田 雅宏)

社員と会社双方の成長のカギは「専門性」にあり

 次世代金融に向けてビジネス戦略を大きく転換し、2019年5月から5カ年経営計画として新たな人事戦略を策定してきたみずほフィナンシャルグループ(みずほFG)。直近2年間を同グループの人事グループ長として新人事戦略を推進してきた江原弘晃氏は、講演冒頭で「人事が、やる気と能力を持った社員にアサインすることを全うすれば、社員は自らに与えられた仕事だけでなく、さらに一段高い目線で考え、仕事をすることで自らを鍛え、自らが成長していくと考えている」と語り、若手リーダーが成長するシカケとして3つのテーマを解説した。

みずほ信託銀行 取締役副社長 江原 弘晃 氏

 1つ目のテーマは「みずほの新人事戦略について」。金融ビジネスにおける構造転換に向き合うことから始まった同グループの改革は、ビジネス・財務・経営基盤の三位一体で推進。改革の中核に位置づけたのは人材の専門性を高めることだ。「社内外に通用する専門性」を、社員と会社双方の成長の鍵と定めたという。推進にあたって人事の考え方を一新。江原氏は「会社の位置づけを、終身雇用的な退職までのよりどころではなく、社員がやりたい仕事やなりたい自分を実現する場とした」と説明する。

 新人事戦略には2つの柱を制定。なりたい自分に向けた各自のキャリアデザインを、会社が全力で支援する「キャリアデザイン支援」と、専門性を高めて挑戦する社員をしっかり報いる「処遇制度の見直し」だ。社内外で通用する「人材バリュー」の最大化にフォーカス。ポイントは「社員と会社が価値観を共有し、社員の人材バリューと企業の付加価値向上を目指していくこと」だと言及した。

会社主導から自らデザインするキャリア形成へ

 2つ目のテーマは「専門性を軸としたキャリア形成」。ここで江原氏は、従来の終身雇用を前提とした選抜的な社内ポストで社員をけん引していくことは、もはや制度疲労を起こしていることを指摘。「ビジネスにふさわしい多様性のある人材集団への切り替えが求められている」と警鐘を鳴らした。

 みずほFGでは、従来のローテーション型異動といった会社主導のキャリア形成から、各人自らがキャリアをつかみとる考え方へと転換。「熱意×専門性の総和が社員の成果」と捉え、育成・評価の枠組みを再構築した。全職員に公平にフィールドを提供するため、それまでの職系区分を廃止。80ある職務ごとに必要な専門性を定義づけ、育成ツールとして活用できるようにした。

 さらにエンティティ横断の12のキャリアフィールドと、専門性を軸に職務を分類した事業領域を制定。各領域で求められる専門性を高め、発揮している社員が、そのキャリアフィールドを選択することもできるようにした。狙いは、社員が職務に対して志をかため、覚悟をもって仕事をすることだ。江原氏は「ビジネスで勝てる集団形成を実現したい」と語り、「みずほFGの社員は、グループにある多様な仕事に誇りを持つべき。また、様々なビジネスで活躍している人を、会社も認識し評価をしていく」と加えた。

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