リモート勤務が一般化し、人と人が顔を合わせて仕事をする機会が減ったこの2年で社内コミュニケーションも激変している。2021年9月に開催された「CHO Summit2021Autumn」でのパネルディカッション「イノベーション創出に向けた社内コミュニケーション戦略」の採録から、企業価値向上を実現する新しいコミュニケーションについて3回にわたって考えてみたい。パネラーはサイバーエージェント常務執行役員 CHOの曽山哲人氏とメルカリのDiversity & Inclusion Teamマネージャー寶納弘奈氏、モデレーターを日経BP総合研究所客員研究員の須東朋広が務めた(構成はHuman Capital Online発行人 小林暢子、写真は川田 雅宏)。

須東朋広(以下、須東):イノベーション創出に向けた社内コミュニケーション戦略について考えるパネルディスカッション、ではまずサイバーエージェントの曽山さんから御社のお取り組みをお話しください。

曽山哲人氏(以下、曽山):まず私自身の自己紹介ですけれども、新卒後は百貨店の伊勢丹に入社し、1998年にネット通販を始めました。まだブロードバンドが普及する前でしたがすごく服が売れて。「ネット業界が面白い」と感じて、サイバーエージェントの求人を雑誌で見つけて入社しました。6年間、インターネット広告の法人営業をやり営業責任者を務めた後に、16年前から人事の責任者をしています。最近はビジネス系YouTuber「ソヤマン」としても活動しています。ぜひチャンネル登録をお願いします。

サイバーエージェント常務執行役員 CHOの曽山哲人氏 
[画像のクリックで拡大表示]
サイバーエージェント常務執行役員 CHOの曽山哲人氏 
上智大学文学部英文学科卒。 1998年に株式会社伊勢丹に入社し、紳士服の販売とECサイト立ち上げに従事。 1999年に当時社員数20名程度だった株式会社サイバーエージェントに入社。 インターネット広告事業部門の営業統括を経て、2005年人事本部長に就任。 現在は常務執行役員CHOとして人事全般を統括。 キャリアアップ系YouTuber「ソヤマン」としてSNSで情報発信しているほか、 「若手育成の教科書」「クリエイティブ人事」「強みを活かす」などの著作がある。

 早速本題に入っていきますね。リモート時代に強いチームの条件として、①組織目標 ②信頼残高 ③言葉の開発 ④期待と抜擢 ⑤自走環境を掲げました。どれも以前から重要なことではあったんですが、オンラインによって価値が急激に上がったと考えています。

出所:サイバーエージェント
[画像のクリックで拡大表示]
出所:サイバーエージェント

 特に重要なのが「組織目標」です。個人目標だけだと、それを達成すれば終わりというのが原則的な考えなので、チーム貢献につながらないんですね。なのでチームの目標、組織の目標を立てているか、そこに対して没頭できてるかがすごく大事です。

 二つ目の「信頼残高」は、普段の関係性としてお互いに信頼し合える関係性を作れているかを指します。信頼は、預金の残高のように積み重なっていくという考えから、「残高」という言葉を使っています。残高という言葉には、放っておくと自然と減っていくとイメージもあります。信頼というのは積み重ね続けるものだという考え方でこのキーワードになっています。

 三つ目は「言葉の開発」はサイバーエージェントオリジナルです。創業者の藤田晋の言葉に「リーダーは、短い言葉で多くの人を動かすということが重要である」というものがあります。例えば話が長い人は皆さん嫌いですよね。そうならないようにするにはシンプルな言葉で、「なるほど」と思える言葉を開発することがポイントなのです。

 四つ目は「期待と抜擢」。これはどんどん人の可能性に投資をしていきましょうということです。新しいポジションを任せるとか、新しい仕事をやってもらうといったことです。「抜擢」というとちょっと大げさな感じになるので、その手前で「期待をかける」ことを重視しようというわけです。「君にはこういう才能があるからこういうことをお願いしたい」とか。1年目の社員でも、例えば「情報収集の責任者を任せたい。君ならきっとできるはずだ」とこの期待をかけるだけで抜擢になります。こういったことを積み重ねていくのがとても大事だということです。

 五つ目の「自走環境」は、自ら走れるようにどんどんチャレンジできる環境を作れているかどうかを指します。オンラインは周りが見えなくなるので、安心してチャレンジできる環境がこれまで以上に必要になります。

この記事は登録会員限定(無料)です。

登録会員お申し込み会員登録