「自律人材の育成」は人事部門の重要課題だが、既に教育の場でもその取り組みは始まっている。難関大学への高い進学実績で注目される渋谷教育学園では、「自調自考」の目標を掲げ、中学から「自らの手で調べ、自らの頭で考える」教育を重視している。

 「自律した人材を育成したい」「指示待ち組織から自律型組織に変えたい」――。こうした目標を語る企業の経営トップや人事部門は枚挙に暇がない。会社から与えられるキャリアに沿って研修を受けるのではなく、自らがありたいキャリアの像を描き、それを達成するためのスキル習得や実務経験に主体的に取り組んでいく。自律人材の像はこういったものだろう。

 教育の場でも、自律人材育成の取り組みは始まっている。その代表格ともいえるのが学校法人渋谷教育学園(東京・渋谷)だ。同学園が運営する幕張中学校・高等学校、渋谷中学高等学校はいずれも、東京大学をはじめとする難関大学はもとより、海外のトップ大学への高い進学実績で知られる。だがそれ以上に同学園を特徴付け、生徒や保護者を引きつけるのは「自調自考」という基本目標だ。「自らの手で調べ、自らの頭で考える」ことを重視し、それに基づいた教育を実践する同校に、自律人材育成のヒントを得ようと、田村哲夫理事長に講演を依頼する企業は少なくないという。

 なぜ、こうした目標を掲げるのか。そしてどんな人材を目指しているのか。2021年9月28日にオンラインで開催された「CHO Summit2021 Autumn 個を活かし、輝く組織へ」での田村理事長の講演の抄録からそれをくみ取ってみよう。

田村 哲夫 氏
田村 哲夫 氏
1936年生まれ。東京大学法学部を卒業後、住友銀行を経て学校法人渋谷教育学園理事に。1970年からは同学園理事長(現職)。1983年に開校した渋谷教育学園幕張中学校・高等学校と、1996年に改組した渋谷教育学園渋谷中学校・高等学校をともに首都圏屈指の進学校に押し上げた。2014年、旭日中綬章受章。(撮影:川田 雅宏)

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