「長期間かけて少しずつ成長させる」「短期間で判断して抜てき」など、業種によってキャリアの類型は異なる。多数の事業を抱える企業には複数のキャリア類型が混在するが、どの事業を担当しても成功する人がいる。その理由を分析してみよう。

(写真:123RF)
(写真:123RF)

 人事が制度や施策を作る時に、絶対に忘れてはいけないことが、あります。それは「自社のキャリアの形」です。

 前シリーズ「人事の組み立て」の中で、「キャリアの類型には3つの形があり、それは事業や企業によって異なる」と書きました。だから、闇雲に他社のベストプラクティスをモノマネしても、自社には根付きません。各社ごとのキャリアの類型をまず知り、それに合う形でHRM(人材管理)も組み立てていく必要があると再説しておきます。

職業能力のOSとアプリの組み合わせによる3つのタイプ

 たとえば、メガバンクや総合商社、グローバルメーカー等の場合、全くの未経験者を採用し、長期間かけて少しずつ成長をさせていく、という奥深いキャリア形態が必要になります。いきなり20代で経験の浅い若者に、巨大企業の資金繰りや、海外の大規模プロジェクトのリーダーを任せることなどもちろん無理でしょう。それら難易度の高い複雑な仕事は、入社後十数年ステップを積み、ようやくこなせるようになります。 こうしたタイプのキャリア類型を私は「TypeA」と呼んでいます。

[画像のクリックで拡大表示]

 一方で、リクルート社や同業の人材系ビジネス、eコマース系の企業、不動産、証券セールス、外資系生保などの企業では、入社数年の若者が全社ナンバーワンの業績を残してMVPとなることがよくあります。こうした企業は、覚えるべき専門知識や技能(アプリケーション)がそれほど多くなく、1~2年でキャッチアップができてしまうので、あとは、本人の培った人間性(基本ソフト、OS)で勝負が可能です。

[画像のクリックで拡大表示]

 その一方で、業績が上がらない人間は、いくらアプリケーションを積んでもなかなか目が出ることがないために、早い段階でキャリア展望が見えてしまいます。こうした早期結論型のキャリア類型を「TypeB」と名付けました。

[画像のクリックで拡大表示]

 さらにもう一つ、このどちらでもなく、ある程度、社会人としての基本能力(勤怠やマナー、対人管理など)があれば十分であり、業績も給与も緩く年功型で上がっていく企業があります。こちらは「TypeC」と呼んでいます。

[画像のクリックで拡大表示]

この記事は登録会員限定(無料)です。

登録会員お申し込み会員登録