1990年代半ばから生産年齢人口が減少に転じていたにもかかわらず、衰退産業から成長専業への労働力シフトや、女性、シニアの就業者増でしのいできた日本。だが限界に近付きつつある。特に深刻なのが飲食・サービス産業だ。

(写真:123RF)

 ホワイトカラーに少子化の影響はほぼない、という話を前回は書きました。要約すると以下の通りです。  

・少子化といえども大学生数は増えており30年前の1.6倍にもなる
・とりわけ、旧帝大・早慶・MARCH・関関同立など名門校は定員を増やしている
・少子化で定員増だと質的低下が危惧されるが、それも誤り。30年前は確かに学年人口が今の2倍近かったが、産業界と相性の良い四年制総合大学(短大と女子大を除く)への女性進学率は低かった。つまり、人口は2倍いたが、その半分の男性しか受け入れていない状態だった。現在は人口こそ半分になったが、文系ならば上位校でも女性比率が4割になる。そのことを考えれば質も保たれている
・とすると、ホワイトカラー職務なのに「若年人材の質の低下」を叫ぶ企業は、少子化が問題なのではなく、男女共同参画が整っていない男社会であることが問題だ

 このことからも、昨今、ダイバーシティーが企業経営と切り離せない理由がよく分かったことでしょう。

 今回は、非ホワイトカラー職務について考えてみます。

 前回の資料で、高卒就職者数は過去の5分の1まで減っていることを示しました。短大も同様に激減、専門学校でさえ(再入学者を除くと)減少しています。こうした学校の卒業生を受け入れる非ホワイトカラー分野、特に流通・サービス業では、恒久的な人材難に見舞われることになるでしょう。その対策として何が考えられるのでしょうか。巨視的に見ていくことにいたします。

25年間で生産年齢人口は1300万人も減少

 日本の総人口が減少に転じたのは、2008年とも2010年ともいわれます。それからまだ10年ちょっとしかたっていないのですが、産業界にはもっとずっと以前から、人口減の影響が及んでいました。

 その理由は、総人口に先んじて生産年齢人口(就労可能性が高い15~65歳の人口)は1996年からずっと減少し続けていたからです。

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出所:総務省統計局「労働力調査」を基に著者作成

 現在まででその減少数は約1300万人。総労働者の約2割にもなる大きな数字です。この苦境を、産業界は以下の3つの方法でしのいできました。  

1. 衰退産業からの人材流出
2. 女性の労働参加
3. 高齢者の就業継続

  1.の「衰退産業」には「工場の海外移転が続いた製造業」、「公共事業予算の縮小により事業縮小した建設業」、「規模集約による効率化や輸入への依存強まった農業」の3セクターが入ります。製造業は約400万人、建設業が約200万人、そして農業が約150万人と3産業トータルで800万人近くの人材流出が起きました。

 続いて2.の女性と3.の高齢者については、非正規雇用がその中心となりましたが、1996年から2020年までの間に女性が約450万人、高齢者は約500万人も就業者を増やしています(衰退産業・女性・高齢者での重複カウントが含まれる)。

 その結果日本は、生産年齢人口が25年で1300万人も減る中で、総就業者数は逆に350万人も増やしてきたのです。ただ、こうした過去の労働シフトの成功が記憶に色濃く残るため、日本の企業はこれから迎える絶望的な人材不足に対しても甘く考えているという点が否めません。

 ここではっきりとさせておきます。

 過去25年の労働シフトは、これからもう全く通用しない時代になりました。