AIより実用可能性が高いRPAを活用すれば、非ホワイトカラー業務の多くが短期間で習得可能になり、「誰でも好きな仕事に簡単に就け、いやなら辞めてしまう」ことが当たり前の時代が来る。それに備えて、企業は新たな評価報酬制度や教育育成システムを準備しなくてはいけない。

(写真:123RF)

 前回までで、非ホワイトカラー層は、どうしようもない人材難に見舞われることがお分かりいただけたでしょう。「高度人材が足りない」などと騒ぐのはいつの時代も同じであって、これからの少子高齢化は一般人材確保こそ、企業活動の要諦になります。骨子は以下の通りです。

① 非大卒人材の極端な減少
② 女性のキャリアの上昇→主婦パートの減少
③ 前期高齢者の減少(増えるのは後期高齢者のみ)
④ 衰退産業の人材ニーズが底打ち反転
⑤ AIによる省力化もここ10年ではそれほど進まない。

 前回最後に、AIによる省力化と少子高齢化による人材減の帳尻について書きました。AIはメカを伴う物理的作業の代替はできず、結果、一部の知的専門業務と、1つの単純作業に特化した省力化のみがかなうだけ(たとえば、スーパーではセルフレジが浸透するが、それで代替できるのは、レジ業務の一部のみであり、その他作業はほぼ現状維持)。結果、10年間で全就労者比数%程度(200~300万人)の代替に留まるでしょう。

 対して、少子高齢化での労働人口減は毎年40~50万人にもなる。10年では500万人近くになるので、どう見ても200万人程度の人材不足になってしまいます。この人材需給ギャップをどう埋めていくのか。今回は2つの「ダイバーシティ」について説明していきます。それは、雇用形態と就労観の多様化への配慮となります。

RPAが非ホワイトカラーの仕事を変える

 前回書いた通り、AI単体では物理的な作業はこなせません。AIにメカを加えロボット化してようやくそれは可能となります。ただ、そうしたロボットは開発が難しく、高価になる。だから、そう簡単にそちらに歩を踏み出せません。

 一方、AIに簡単なインターフェースを組み込んだRPAは、すぐにでも実用可能です。今あるタブレットにAIエンジンを入れれば、そのままRPA化できるでしょう。とすると、こちらへの投資が自ずから大きくなっていくはずです。

 そうすると、非ホワイトカラーの仕事は質的に大きく変化するのに、気づきますか?

 たとえば、コールセンタースタッフを考えてみましょう。この仕事は、担当する製品やサービスごとに膨大なマニュアルを覚え、また、それに対して、適切なQAフローも身につける必要があります。その習熟に時間がかかり、またミスを犯すと顧客からお叱りを受けるというストレスも加わる―かなりブラック感漂う職務でした。

 そこに、RPAを内蔵したタブレットが加わるとどうなるか?RPAが顧客の要望を理解し、適切なQAフローを示してくれ、マニュアルの対応部分を開いてくれる──。こんな形で仕事を進められるようになるのです。これは、スタッフごとに優秀なスーパーバイザー(SV)がついているのと変わりありません。覚えること、ミス、ストレス……。こうしたものが激減していく。結果、この仕事を嫌がる人は減り、しかも習熟期間が短く誰でもこなせるようになる。結果、雇用が促進される。こうした変化が様々な職種で起き、ミスマッチが減ることで、社会全体の人材難が軽くなるわけです。