入国後2カ月にわたる集団導入研修、その間お小遣い月6万円

 さて、ここからは意外に思う事実を書いておきます。技能実習制度について一般に知られていない一番大きな点は、受け入れ時にかなりのサービスを提供していること。皆さんは以下のような話をご存じでしょうか。

 まずは受け入れ団体(企業ではなく監理団体が一括受け入れをする)において概ね2カ月かかる320時間以上の集合研修が義務付けられています。講習内容は、(1)日本語、(2)生活専門知識、(3)入管と労働に関する法や保護、などです。

 講習中の宿舎は無償で監理団体または実習受け入れ企業が確保しなければなりません。この間、無賃金では実習生の生活が成り立たないため、「講習手当」として月6万円程度が支払われています。ちなみに、この講習手当から講習費・宿泊費などを実習生に負担させることは厳に禁止されており、実習費は、受け入れ先企業がすべて支払うことになります。企業としては初年度12カ月のうち2カ月も就労させることができず、その間の講習費・手当などを支払うことになり、負担感が非常に強いと言えるでしょう。ただ、入国から受入れまでは入管や管理機構の監督が厳しいため、この期間に違反はほとんど見られません。さらにこの他、実習生の渡航費(旅費や在留資格申請費など)や企業が現地で面接を行う旅費などもかかるため、実習生1人を雇うと初年度は優に100万円を超えるでしょう。その後も監理団体への支出などで、毎年60~80万円の費用が掛かると言われています。

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 こうした負担は、他国の移民受け入れと比較しても、決して見劣りしないはずです。

厳しい規制と保護が法制化されている

 続いて実習先企業について見てみましょう。

 こちらは過去に起こった実習生に対する不当行為を、その後の規制強化でほとんど禁止事項として明文化し、しかも罰則規定も通常の労働法よりも厳しく設定しています。例えば旅券・携帯・通帳の取り上げ・暴力を伴う業務指導・監理団体の運営費用の徴収などは全て禁止されています。

 食事・寮費については賃金から控除する場合は労働基準法に則った労使協定の締結が必要であり、控除額は実費を超えてはならない、と規定されています。もちろん最低賃金は遵守し、同等の仕事をする日本人並みの給与の支払いも明記。さらに、帰国費も受け入れ先企業が積み立てることが義務化されています。

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 でも、こうした法的規制ができても、それが守られなければ意味がない、という声が聞こえそうですね。そこで、技能実習に関しては2通りの浄化が進められています。この点、日本人のサービス残業やパワハラ問題よりも、相当、体制は整いつつあるといえるでしょう。