グローバル企業への転換を目的にジョブ型にかじを切る

 日立製作所のマネジメントシステム改革は、10年の長きにわたる。2008年の赤字計上を機に、2011年に経営/人事戦略を「グローバルな人財マネジメント戦略」に転換。経営トップが強くコミットし、グローバル事業の拡大と社会イノベーション事業の推進という2つを経営目標とし、人事制度の改革をスタートした。

 まず2012年度に、25万人の人材情報のデータベース構築に着手。次に、2013年~14年にかけてマネジャー以上のポジションの格付けと、これに基づく評価と給与制度を確立している。さらに2017年度からワークデイの「人財マネジメント統合プラットフォーム」を順次導入し、社員のスキル、経歴、評価などを共有してきた。

 こうした経緯を経て同社は2020年度にはジョブディスクリプション(JD=職務記述書)を整備し、すべての職種について階層別にJDを作成。10年間かけて人材マネジメントを改革し、ジョブ型へと移行したのである。

 一方で資生堂が導入したのは、独自のジョブ型だ。同社が経営課題としていたのは、従業員一人当たりの生産性の低さと、欧米と日本における専門スキルの差だった。この課題を解決するため、同社はグローバル企業としての成長を目指し、マルチナショナルカンパニーへとかじを切った。経営トップ主導でジョブグレード制度を導入し、2015年には役割の大きさに応じて等級を設定する「役割等級制度」を作成し、国内の一部管理職に適用した。

 しかし、この役割等級制度には運用上の課題が浮上。これを解決するため、2020年に新たな報酬体系も導入し、ジョブファミリー(領域)ごとにJDを明確にした。同じジョブでも役割等級のあるJDを作成している。最初に導入したジョブ型を、実情に合わせて改良した形だ。こうした仕組みを資生堂では、「ジョブ型と日本の制度の折衷案」と呼ぶ。