タレントマネジメントに取り組む日本企業が増えている。人事情報を一元化して管理するデータベースやシステムをベースに人材の採用、配置、抜てき、育成に取り組む。年功序列や組織の縦割りを超えて、社内の優秀人材が可視化できることがメリットだが、タレントマネジメントの実践は従業員にも大きなメリットがある。

(写真:123RF)

 Human Capital Onlineが2021年6月に行った読者調査で、職種が人事だと答えた回答者のうち41.7%の企業でタレントマネジメントに注力していることが分かった[注]。9月に実施する「CHO Summit 2021 Autumn」のパネルディスカッションに登壇するリコーと大日本住友製薬もタレントマネジメントを様々な人事施策のハブとして活用している。

 大日本住友製薬では16年から人事改革をスタートした。その実効性を高めるために取締役全員と一部の執行役員、本部長などの現場リーダーも加わる「人材育成会議」を直近10年間に100回以上実施。従業員の配置や育成に加え、働き方改革やダイバーシティ施策について議論し方針を決めている。この議論に活用しているのが18年に導入したタレントマネジメントシステムだ。施策を打つ際に対象となる人材を漏れなく候補に入れることが可能になった。

 近年では評価や研修歴などの静的データとCRMデータ、訪問回数などの動的データを掛け合わせてMR(医薬情報担当者)の成果創出要因を分析。このほか、高い成果を出している社員のエントリーシートとSPIデータを用いて優秀人材の要因を分析し、新卒採用にも活用している。大日本住友製薬の樋口敦子執行役員は、従業員が持つ能力・資格と求められる能力のギャップを明らかにし、「足りない部分を社員自らが自己研鑽(けんさん)し、個人にあった育成プランを上司と部下で計画できる環境を目指す」と話す。タレントマネジメントで従業員自らがスキルと経験の客観視ができることを重視するのは、リコーも同様だ。

[注]Human Capital Online読者調査(2021年6月実施、ウェブ調査、有効回答数363件)