テレワークの普及で多様な働き方が可能になった。「在宅派遣」という新たな手法で、日本のITエンジニア不足を解消しようとしているのがCLINKSだ。テレワークで起きがちなコミュニケーション不足の問題も、独自のITサービスで解決を目指す。「CHO Summit 2021 Autumn」(2021年9月28日にオンラインで開催)に同社代表取締役の河原浩介氏を招き、そのユニークな取り組みを聞いた。聞き手は日経BP 総合研究所上席研究員Human Capital Committee事務局長の大塚葉が務めた。(取材・文=平沢 真一、撮影=川田 雅宏)

ITエンジニアを在宅のまま派遣する新サービスを提供

──御社は早くからテレワークに取り組み、そのノウハウを生かしてITエンジニアを在宅のまま派遣するユニークなサービスを展開していると聞いた。

河原浩介氏(以下、河原):当社は2002年に私1人で起業したが、まず私自身が「通勤時間がもったいない」と考え、当時から実質的な在宅ワークを続けてきた背景がある。現在はITエンジニアの派遣、企業向けシステムの開発と運用保守などを主な事業とし、グループ全体で1010人の従業員を抱えている。

 日本は慢性的なITエンジニア不足の状態にある。それを解決する手段として、「在宅派遣」が有効ではないかとずっと考えてきた。育児や介護などの事情で通勤が難しいとか、地方在住で仕事が少ないといった理由から「在宅なら働きたい」というITエンジニアが多数いるからだ。

 ITエンジニアの在宅派遣を実現するため、まず2016年10月から社内でテレワークのトライアルを開始。2017年7月から在宅勤務可能なエンジニア社員の採用を始め、同年8月にITエンジニアの在宅派遣サービス「テレスタ」を立ち上げた。現在、約80人のITエンジニアを在宅派遣している。

 河原 浩介 氏
河原 浩介 氏
CLINKS 代表取締役

──社内のテレワークはどのように進んでいるか。

河原:全社員の6割前後テレワークで勤務しており、その状況をホームページ上でリアルタイムに公開している。2020年4月に行った調査によれば、社員の99%がテレワークのメリットを感じている。通勤の負担が減って「自由に使える時間が増えた」や「生産性が向上した」といった声が多い。半面、デメリットを感じている社員も86%ほどおり、その多くが「コミュニケーションの問題(29%)」を挙げた。管理者からすると、在宅勤務中の部下が何をしているか分からず、仕事の進捗状況が見えづらい。かといって、定点カメラやPCの挙動を記録するようなシステムで監視するような方法では、従業員のプライバシーを侵害し、モチベーションを著しく低下させてしまう。