3つの切り口で人的資本経営のKPIを公開

 人的資本経営のKPI(重要業績評価指標)として、2021年秋に公開した統合報告書で、「人財育成」「ダイバーシティ&インクルージョン」「健康経営」の3つの切り口で10項目を開示した。例えば「人財育成」には「教育訓練投資」「社員1人あたりの研修の時間」、「ダイバーシティ&インクルージョン」には「女性管理職比率(グループ国内)」「グローバル従業員比率」などのKPIがある。

 加えて、デジタル研修の受講者数や海外派遣研修の受講者数、社員意識調査の結果などの数値も開示している。経済産業省が2021年秋に開催した「非財務情報の開示指針研究会」でも、人的資本情報開示の事例として取り上げられた。中期経営計画でも、財務・非財務の数値目標を設定している。

 特に重視しているのは女性管理職比率(役員、部長、ラインマネジメント)だ。最終的には持株会社がグループとしてまとめて開示するが、現時点では2030年に30%の目標を立てている。その目標に向けて、前述の女性を主としたポジションなどの制度を活用している。

 そのほかに課題として考えていることが2点ある。一つは「自律」へのカルチャー変革だ。損保業界は動きが早く、従来からの発想の延長だけでは競争に勝てない。健全な危機感を醸成し、キャリアは会社任せでなく、自分で形成していくように意識転換していきたい。そのため2020年には社内FA制度を作り、自ら手を挙げて希望する部署に異動できるようにした。現在までの適用者は40~50人で、特定ポストの担当者を社内から募集する従来からの公募制度(ポストチャレンジ制度等)と併せて、キャリア自律のツールとしていきたい。ジョブ型のスペシャリスト人財もキャリア自律を促す仕組みの一つと位置付けている。

 もう一つの課題はグローバル人財の育成だ。6カ月から1年の単位で海外現地法人の人財を本社のコーポレート部門に配属して育成してきたが、コロナ禍でままならなくなった。今年は各現地法人から幹部候補層に1人ずつ参加してもらって、本社施策やミッション、バリューなどのオンライン研修を全6週間、計12回実施した。アジアや米国、欧州などから参加し、お互いの知見を共有し、ネットワークを構築する良い機会となった。今後はリアルでの人財交流機会も模索し、研修効果を上げていきたい。本社採用社員については、コロナ禍で休止していた海外派遣研修を復活させ、2022年4月には欧米を中心に約30人の研修生を派遣する予定だ。20~30代社員に視野を広げるチャンスを与えていきたい。(談)