サーベイ実施までのプロセスを省力化するSmartHR

 このように、従業員サーベイによるエンゲージメント測定は人事・経営課題の発見と対策において効果的である。しかし、「日本の人事部」が発行する「人事白書2019」によると、そもそも従業員サーベイを実施している企業は全体の約36%にとどまるという。この背景について、重松氏は「データ整備や運用方法の決定、質問項目の作成など、サーベイを実施するまでに必要なプロセスが非常に多いためだ」と指摘した。

 特にデータ整備については、Zホールディングスの伊藤洋一さんが提唱していた、データが分散化してしまい目的の情報を探せない「ばらばら病」、入力間違いなどがある「ぐちゃぐちゃ病」、データの取得タイミングが異なる「まちまち病」という「人事データの3大疾病」が起こりやすい。サーベイ実施の段階においても、「質問設計の仕方が分からない」「サーベイの実施と集計に時間が掛かる」「回答を見ても原因特定が難しい」などの悩みが出るケースもあるという。

 こうした課題の解決手段として、重松氏は同社のクラウド人事労務ソフトウエア「SmartHR」を紹介する。SmartHRは従業員ごとの等級や職種、人事評価などの人事データと、勤怠、雇用形態、性別、給与といった労務データを一元的に集約・管理して、人事業務の自動化を促進するツールだ。「人事データの3大疾病」を防ぎつつ、入社手続きや給与明細の配布、年末調整、人事評価などの業務を効率よく行えるようにする。

 SmartHRは、エンゲージメントサーベイをはじめとする従業員サーベイを作成、実施し、結果を収集する機能も搭載。あらかじめ質問項目が設定された「プリセット」が用意されており、サーベイ作成の手間を省力化できる。調査結果を人事データと組み合わせて分析する機能もある。例えば、ある入社年次の従業員の離職率が高ければ、「エンゲージメントスコアと従業員の入社年次データを掛け合わせて分析することで、その要因を特定できる可能性がある」(重松氏)という。

 重松氏は「まずは、どのような形でもよいのでサーベイを実施し、エンゲージメント向上のためのアクションを取ることが大切だ。アクションは小さなものでもよい。また、集めたデータはすぐに活用できるよう整理し、管理しておくべきだ。当社としてもこれらの取り組みを支援し、従業員が信頼感を持って働ける組織づくりの手伝いをしていきたい」と語って講演を締めくくった。