デジタルトランスフォーメーション(DX)が喫緊の課題となる中で、これを推進する人材を見極めることは人事担当者の悩みどころだろう。「ピープルアナリティクス・カンファレンス2021」(2021年11月25日にオンライン開催)にVISITS Technologiesの吉村由宇氏が登壇し、同社の「デザイン思考力テスト」を紹介した。受検データを分析してDX人材を可視化するテストだ。(取材・文=岩元 直久)

DX人材を可視化する

 「CHRO(最高人事責任者)や人事部長に『PA(ピープルアナリティクス)でちゃちゃっとDX人材を可視化しておいて』と言われるようなことがある。そんなときにどう対応したらいいのか」。VISITS Technologiesの吉村由宇氏は本セッションをこう切り出した。同氏は、このような問いかけに対して「何が目的なのか? DX人材の定義とは? そしてどの指標でDX人材を判断したらいいか? 課題はたくさんある」と指摘する。

 DX人材を可視化するには、まずDXについて整理することが必要だ。経済産業省では、DXを「デジタルを手段としてビジネスモデルを変え続ける、そして企業の競争優位性を確立していくこと」だと定義している。吉村氏は、DXを推進するには「ビジネスモデルを変え続け、競争性優位を確立するには、経営課題とデジタル技術を結びつけて考えることが必要で、それらを翻訳できるビジネストランスレーターが求められている」と説明する。ビジネストランスレーターになれるDX人材についても、同氏は求められる人材像が変化していると指摘した上で、次のように解説する。

 「2~3年前は、ITのハードスキルを持っている人がDX人材といわれがちだった。しかし、最近はソフトスキルが必要だといわれることも多くなった。さらにマインド・メンタルモデルの必要性も問われている。この3つの中で、人事が関わる部分で考慮すべきなのはソフトスキルの部分になる」

 ソフトスキルが求められるのは、DXがデジタル化を目的にしたものではなく、ビジネスモデルの変革や企業の競争性優位を保つことが本来の目的だからだ。そこで、吉村氏はDX人材に必要な能力について、次のように分析する。

 「ユーザーの課題はどんどん変わっていく。まず『ユーザーの課題を適時・的確に把握』する力が求められる。そして、その困り事を解決するために『常識にとらわれない新しいUX(ユーザー体験)の創造・提供』を実現できる人材がDX人材の要件だろう。これはユーザーのニーズに合った課題解決を行うデザイン思考のプロセスと同じであり、『DXに必要な能力=デザイン思考力』といえる」

吉村 由宇 氏
吉村 由宇 氏
VISITS Technologies イノベーション&トランスフォーメーション部 エグゼクティブ・ディレクター(写真提供:VISITS Technologies)