ピープルアナリティクスの現場はどこまで進んでいるのか――。「ピープルアナリティクス・カンファレンス2021」(2021年11月25日にオンライン開催)に、PwCコンサルティングの井上卓也氏と齋藤冠郎氏が登壇。同社が実施した「ピープルアナリティクスサーベイ2020」の結果を交えて、ピープルアナリティクスの最新動向と先進事例を紹介した。(取材・文=岩元 直久)

活用領域とデータの多様化が進む

 PwCコンサルティングは、2016年から継続して「ピープルアナリティクスサーベイ」を実施している。井上氏が、2020年版のレポートを基に先進企業の動向を解説した。

井上 卓也 氏
井上 卓也 氏
PwCコンサルティング 組織人事チェンジマネジメント ディレクター(写真提供:PwCコンサルティング)

 同氏によると、従来はハイパフォーマー分析や採用における内定可能性分析のためにピープルアナリティクスに取り組む企業が多かったが、最近の調査ではエンゲージメントの分析や組織パフォーマンスの要因分析などの領域へ広がりつつあるという。このほかにも、ワークスタイル分析にも関心が集まるなど、多くの企業が人事の幅広い領域でピープルアナリティクスに取り組み始めている。

 このほかの傾向として、分析対象となるデータが多様化するともに、データを活用するユーザーが広がってきていると指摘する。活用しているデータとしては「経歴情報」「評価情報」「勤怠情報」が上位に来ている。前年からの比較では「従業員意識調査」「ストレスチェック情報」が10%以上伸びている。井上氏は「働き方の多様化の進展などが影響を及ぼしている可能性がある」と分析する。

 分析ツールを使うユーザーは、本社人事が依然として多いとしながら「増えているのは経営層、部門人事・事業所人事などで、ユーザーの広がりが顕著だ。マネジャーや現場の従業員による利用も広がっている」と井上氏は説明する。利用するツールでは表計算ソフトやデスクトップデータベースが現状では多いが、今後はBI(ビジネスインテリジェンス)ツールや専門的な分析ツールの利用が増えると見込んでいる。

 「アナリティクスの進化」というと、分析手法が高度であることを思い浮かべるかもしれないが、井上氏は「データの多様化もピープルアナリティクスを進化させる要因になっている」と語る。これまでは、高度な分析を行っている企業を先進企業と位置付けていたが、今後は「多様なデータを分析している」ことも先進企業の要件に加えるべきだと指摘する。