人的資本経営のKPI(重要業績評価指標)として、女性管理職比率を掲げる企業が増えている。女性社員の採用・育成・登用に一貫して取り組んでいくには、経営トップからの発信と人事施策の連動、そして現場における実践が不可欠だ。多くの企業で女性活躍推進を支援してきた著者が、人事キーパーソンと現場の女性社員にインタビューし、そのポイントを探っていく。第1回は、2021年3月に「D&Iステートメント」を発表し、経営層における女性比率を2030年までに40%以上とする目標を掲げたアサヒグループホールディングスだ。

 女性活躍推進はサステナブルな経営への第一歩だ。ここで吸い上げられた現場の課題解決の施策を全社員に適応させていくことで、社員のタレントや多様性を生かす人材育成・D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)につながる。私は以下のポイントが重要だと考える。

1.経営陣の取り組み
①企業のビジョン・目標の明確化
経営トップが、「経営戦略上必須である」という自社を主語にしたメッセージを伝え、目標を明確に発信して本気度を伝える。
②能力を発揮・評価できる仕組みづくり
構造的にある一定の属性が育成・登用されない不公平な評価制度になっていないかをチェックし、改訂する。
③現場と経営をつなげる推進体制の構築
KPIをつくっただけで終了するのではなく、現場の状況が経営に吸い上げられ、常にコミュニケーションを行える推進体制を構築する。

2.現場の取り組み
④管理職パイプラインを意識して、段階ごとに着実に継続して行う。
採用時から期待を伝え、育児期に両立支援と活躍支援を行い、登用までの継続したキャリア支援と社内ネットワーク構築を行う。
⑤マネジャー層のアンコンシャスバイアス払拭
登用時にマネジャーのみの判断で選抜を行わない仕組みや、マネジャー層に対し女性社員育成等に関するアンコンシャスバイアス払拭の施策を行う。
⑥働きやすい環境の整備
リモートワークやフレックスタイムなど、柔軟に働ける施策を全社員対象に適応し、働く環境を整備する。

3.社内外広報に注力する
⑦社内外広報を強め、社員に浸透させる
社外だけではなく、社内に対しても取り組みの意義や成果を発信し、理解者を拡大させることで施策の効果を高める。

女性活躍推進 7つのポイント
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女性活躍推進 7つのポイント

 この連載では、経営トップから現場に至るまで一貫した施策を継続して実践する人事部門と現場の社員にインタビューを行う。経営戦略が具体的な人材戦略として実行されるには多くのプロセスがある。そして人事部門はそのキーパーソンであり、組織の変革エージェントを担う必要がある。人事が経営や現場と連携しながら、どうやって成果を上げていくかを解説する。

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