第2回では、ITサービス大手SCSKを取り上げる。同社では2012年にダイバーシティ&インクルージョンの専門部署を設置し、翌年から女性管理職登用に向けた研修プログラムをスタート。その目標に女性のライン管理職を100人にすることを掲げた。2020年には管理職94人を達成し、2021年4月からの5カ年行動計画では部長級以上の女性比率12%、社内の認定制度による高度専門人材を150人育成するといった目標を掲げている。

 SCSKは働き方改革と並行して女性活躍推進施策に取り組み、各種認証[注1]も取得。現在は、役員登用に向けたパイプラインづくりの施策に注力している。今回は、前回記事で説明した「女性活躍推進 7つのポイント」(リンクはこちら)の中から、①企業のビジョン・目標の明確化、④パイプラインを意識した育成、⑥働き方改革を中心に人事キーパーソンに話を聞いた。

[注1]厚生労働省による「くるみん認定」、「えるぼし」認定、経済産業省による「ダイバーシティ経営企業100選」と「なでしこ銘柄」の認証を取得している
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女性社員の離職は「投資コストの損失」という強い危機感

 かつてIT業界では長時間労働が常態化していた。2006年当時、SCSKでも約7割の女性社員が出産手前の30代前半で離職していることに強い問題意識を持っていた。同社では男女にかかわらず30歳前後までを育成期間とし、人件費の一定部分に加えて各種研修の受講に投資している。出産手前の女性社員の離職という「投資コストの損失」に危機感を持ち、両立支援制度の整備を進めていった。その成果から、5~6年後には女性社員が出産や育児を事由に辞めることはなくなった。

 酒井裕美人事・総務本部人事部D&I推進課長は「2012年頃には、就業継続はほぼ当たり前となった。しかし、女性社員のライン管理職へのステップアップも含め、キャリアの停滞が起きていることが見えてきた。そこで2012年に経営目標として、女性ライン管理職を100人にすることを掲げた」と説明する。将来的に少子高齢化による人材の枯渇が見込まれる中で「育てた人材が活躍できる会社にしなければならない」という中井戸信英会長(当時)の強い決意があった。

酒井 裕美(さかい・ひろみ)氏
酒井 裕美(さかい・ひろみ)氏
SCSK 人事・総務本部 人事部 D&I推進課長 2004年住商情報システム(当時)に新卒で入社し、人事部に配属。新卒採用や海外拠点の人事管理業務を担当し、その後、IR部に異動。機関投資家対応等を経験し2012年に現D&I推進課が新たに設立されるタイミングで、再び人事部に異動し、2018年4月より現職。 (写真提供:SCSK)

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