今回取り上げるイオンは15カ国に展開、総合スーパー事業を祖業にグループ約300社、従業員約56万人に及ぶ日本を代表する流通グループだ。2013年に女性活躍推進を経営戦略とする宣言を掲げ、グループでの女性管理職比率は26.1%(小売業平均は7.1%[注1])に達する。この背景には半世紀近く前からの女性社員雇用と育成の取り組みがある。

 イオンは2013年に女性活躍推進を経営戦略に掲げ、株主総会で女性管理職比率を50%にすることを宣言した。現在はグループでの女性管理職比率は26.1%と道半ばにあるが、小売業平均7.1%を大きく上回り、政府による各種認証[注2]も取得している。イオンは1970年代のジャスコ時代から女性社員の採用・登用に取り組んできた。今回は特に、①企業のビジョン・目標の明確化、③現場と経営を繋げる推進体制の構築を中心に話を聞いた。

[注1]厚生労働省「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく認定制度に係る基準における『平均値』について」 [注2]厚生労働省による「プラチナくるみん認定」の取得、経済産業省による「なでしこ銘柄」に選定(2018-2021年)、同「ダイバーシティ経営企業100選」に選定
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お客様も従業員も半分以上が女性、だから女性管理職比率50%を目指す

 2013年5月の株主総会で、岡田元也社長(当時)は部課長や店長などの女性管理職比率を50%に引き上げる方針を掲げ、女性活躍推進に一段と踏み込むことを明示した。新卒入社社員の男女比率はほぼ半々であり不可能ではないと考えた。当時、社外取締役に就任した内永ゆか子氏(現・J-Win理事長)からも「お客様も従業員も女性が半分以上なのだから、女性管理職も50%になるべき」と進言されたこともあり、女性活躍に大きく踏み込んだ方針を掲げたと、藤田紀久子ダイバーシティ推進室長は話す。

 イオンの前身であるジャスコは1970年代、岡田屋をはじめとする3社が等しい立場で合併し誕生した。この時人事制度もグループ全体で統一し、公正な人事で運営していくことを基本とした。これは後述する女性社員インタビュー(リンクはこちら)のように「性別や国籍、出身会社に関係なく優秀な人材を育成・登用していく土台になっている」と藤田氏は強調する。

藤田 紀久子 (ふじた・きくこ)氏
藤田 紀久子 (ふじた・きくこ)氏
イオン ダイバーシティ推進室長 1996年イオンフォレスト入社、同社社長室長、人事総務部長、バリューズ推進室長などを経て、イオングループ会社のコスメーム代表取締役社長就任。2020年より現職。(写真提供:イオン)

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