機微情報など一部の例外を除いて、社内のコミュニケーションには原則としてチャットツール「Slack(スラック)」を利用する――。このようなコミュニケーションポリシーを打ち出しているのが、医療・介護の領域で人材紹介と人材派遣を手がけるレバレジーズメディカルケア(東京・渋谷)だ。同社がチャットの履歴を分析することで、業績向上につながるコミュニケーション方法を導き出した。

社内のコミュニケーションを「Slack」に統一

 レバレジーズメディカルケア(LMC)は、創業16年で年商510億円規模の急成長ベンチャー企業であるレバレジーズ(東京・渋谷)の関連会社。人材紹介事業と人材派遣事業という2つの軸において、医療・介護それぞれの領域でビジネスを展開している。北は札幌から南は福岡までの14拠点で約500人の従業員が働いているベンチャー企業だ。

 同社は、2018年からSlackを全社に展開。部署やプロジェクト、特定のトピックごとに、Slack上に「チャンネル」を作成し、従業員がチャットで会話を交わしている。自分が参加していないチャンネルでも、チャットデータを閲覧することが可能だ。趣味や雑談などのテーマでチャンネルを作るケースもあるという。

 Slackを全社展開した狙いは、社内コミュニケーションを「見える化」することだ。同社に限ったわけではないが、業務が高度化・複雑化するのに伴って、社内のコミュニケーションが部署や職種、プロジェクトなどの単位でサイロ化する傾向がある。革新的なアイデアを創出するには、異種の知見が交流することが欠かせないが、社内コミュニケーションのサイロ化はそうした機会を奪うことになる。Slackであらゆる部門の会話をオープンにしておけば、他部門の業務の詳細や知見を理解できるだけでなく、誰がどんな仕事をしているのかを知ることができる。

 さらに、新たなアイデアが生まれたプロセスをたどることも可能だ。全国に拠点が分散するLMCにとっては、遠隔地にいる社員のコミュニケーションを円滑にできるという恩恵もある。同社の副島駿氏は「もともとオープンな組織作りを目指していたので、ここを見れば全ての情報があるという状況をつくりたかった」と語る。

 これに加えて、コミュニケーションコストが低減するという効果もあった。電子メールのやり取りでは、慣習として最後に「よろしくお願いします」と書くといった形式張った文面になりがちだ。しかし、Slackのようなチャットツールの場合は、上司からの問いかけでもスタンプを返すだけで「了解」の意思を伝えられるので、付加価値のない作業を減らすことができる。

副島 駿 氏
副島 駿 氏
レバレジーズメディカルケア 経営企画部 組織戦略室 部長