「がんを早期に発見するということは、若い年齢で治療を開始するということ。がんの早期発見と、治療・仕事の両立は、車の両輪のように進めなくてはいけない」――。厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課 課長の中谷祐貴子氏はこう語る。

厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課 課長の中谷祐貴子氏(写真:がん対策推進企業アクション事務局、以下同)
厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課 課長の中谷祐貴子氏(写真:がん対策推進企業アクション事務局、以下同)
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 同氏は2022年3月4日に開催された「令和3年度 がん対策推進企業表彰式」で国内のがん対策について講演し、冒頭のコメントを発言した。この表彰式は、厚生労働省の委託を受けた国家プロジェクトである「がん対策推進企業アクション」の2021年度の取り組みについて表彰を行ったもの(関連記事:治療と仕事の両立へ、企業のがん対策が続々

 国は、「がん対策推進基本計画」の中で、がん検診受診率の目標を50%としている。がん検診受診率は年々向上しており、2019年の調査では、男性の胃がんが48.0%、女性の胃がんが37.1%、男性の肺がんが53.4%、女性の肺がんが45.6%、男性の大腸がんが47.8%、女性の大腸がんが40.9%、子宮頸がんが43.7%、乳がんが47.4%だった。目標の受診率50%に届いていないがん種もあるが、「今後も地道な取り組みが重要だと思っている」と中谷氏は話す。

 ただし、2020年以降は、新型コロナウイルスの影響でがん検診受診率は「やや減少している」(中谷氏)と見られる。現時点で集められているデータによると、2020年は2019年に比べて1~2割受診率が減少しているようだ。そのため、厚生労働省では感染症流行下におけるがん検診の普及啓発に力を入れている。具体的には、「がん検診の受診は不要不急の外出には当たらないので、緊急事態宣言が出ていても検診に行こう」というメッセージを発信しているという。

 がん検診の受診機会について調べると、がん検診受診者の3~6割が、職域でがん検診を受診していることが明らかになった。働く世代でがんに罹患することが多いため、「職域での受診を促すなど、受診しやすい体制を整えることが重要だと考えている」と中谷氏は語る。職域において早期発見の推進を図りやすくするため、2018年には「職域におけるがん検診に関するマニュアル」を作成した。

 がん検診未受診者の受診しない理由を調べたところ、「受ける時間がない」「経済的に負担」といった理由が挙げられた。未受診の原因となる、こうした事情を考慮した対策をしていく必要がある。