がんになっても働き続けられる――。そんな社会を実現するために、2009年度からスタートしたのが、厚生労働省の委託を受けた国家プロジェクトである「がん対策推進企業アクション」だ(関連記事:日常の企業活動の中で「がん」と真剣に向き合う時期に来た)。

 がん対策推進企業アクションでは、推進パートナーとなった企業・団体とともに、企業におけるがん検診の受診率向上と治療と仕事の両立支援を推進していく。具体的には、企業や団体において、(1)がん検診の受診を啓発すること、(2)がんについての正しい知識を企業全体で知ること、(3)がんになっても働き続けられる環境を作ること、の3つを行っている。

 このプロジェクトでは、毎年、推進パートナー企業・団体の中から優れた取り組みが選出され、表彰される。2021年度の取り組みを表彰する「令和3年度 がん対策推進企業表彰式」は、2022年3月4日に開催された。約3500社ある推進パートナー企業・団体の中から、アフラック生命保険が厚生労働大臣賞を受賞した(去年の表彰会の様子:仕事とがんの共存に向け「最も注力したのは、がん教育」)。

(左から)厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課 課長の中谷祐貴子氏、アフラック生命保険 常務執行役員の森本晋介氏、東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授の中川恵一氏(写真:がん対策推進企業アクション事務局、以下同)
(左から)厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課 課長の中谷祐貴子氏、アフラック生命保険 常務執行役員の森本晋介氏、東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授の中川恵一氏(写真:がん対策推進企業アクション事務局、以下同)

 アフラック生命保険は日本初の「がん保険」の販売を開始した企業。同事業には、がんに苦しんでいる人を経済的苦難から救いたいという思いがあるが、一方で、この理念を具現化するには従業員の健康も不可欠だとし、かねて社内での「がん・傷病 就労支援プログラム」を実施してきた。

 プログラムでは、まず、治療と仕事を両立するために、同じような境遇にある社員同士が相談しあえる環境を整えている。2017年には、がん治療を経験した社員によるコミュニティー「All Ribbons」が発足。現在は22人が参加し、パネルディスカッションや対話型のイベントを行うなど交流を図っている。社内イントラ内のAll Ribbonsページにおいて、実名と写真、罹患した病名と治療時期を公表し、「相談したい場合は遠慮なく声をかけてください」と呼びかけている従業員もいるという。

 治療をする従業員だけでなく、周囲も巻き込んだ環境づくりを行うため、管理職には、部下ががんになった場合の対応に関するロールプレイングなどの研修を行っている。このほか、「がん・傷病就労支援ハンドブック」の作成や、全社員に向けたがんと仕事の両立に関するe-ラーニングなどを実施した。

 さらに、がんの予防に向けて、がん検診受診の徹底と禁煙推奨にも取り組んできた。同社では、定期健診に胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がんの5つのがん検診を盛り込んでいる。社員の自己負担はなく、交通費も支給され、業務扱いでの受診が可能だ。

 現在のところ、がん検診の受診率は平均90%だといい、「比較的順調に進んでいる。がん検診の受診率100%を目指していきたい」と表彰式に登壇した同社 常務執行役員の森本晋介氏は話す。今回の受賞を励みに、がん患者が主体的で自分らしい人生を送ることができるよう社会全体で支え合うためにも、「企業としての活動を続けていきたい」と同氏は意気込む。

アフラック生命保険 常務執行役員の森本晋介氏
アフラック生命保険 常務執行役員の森本晋介氏