情報責任を果たすための4つの対策

 問題1から問題4までを踏まえると、情報責任を果たすハードルがかつてなく高くなっていることが分かる。

 「どのような情報がいつ必要かを正しく決め」「データや情報を価値に変えられる人材」の条件として前回記事『人事部は「インテリジェンス」を持て』で「目的を持って入手し、主観的に解釈する」ことと「様々な事象の関係を把握し、関係を通じて情報を生かす」ことを挙げた。

 この条件をibgがまとめた対策4点に即して吟味してみよう。次の4つの対策は4つの問題にそれぞれ対応しているが、複数の対策を組み合わせてそれぞれの問題に立ち向かう場合もある。

対策1・全体を見渡し、自分の位置付けを考える

 COVID-19のような新たな事態については簡単ではないが、できる限りの情報を集め、全体像とそこにある「様々な事象の関係」を把握し、自分の位置を確認する。その上で全体の中で自分や自社、自国は何をしなければならないのか、すなわち目的を考える。目的があって初めて、どういう情報が必要かを決められる。

対策2・自分の言葉で伝え、関係を築く

 相手との関係を考え、相手に伝わるように情報を出す。キャッチフレーズやキーワードを振り回さず、自分なりに言葉を吟味して伝える。まず、主観を他人に伝える努力をして、他人の主観(自分にとっては客観)に基づいて主観を検証し、必要があれば調整する。常に相手を意識し、相互の関係を規定していく。主観を他人に強要するとエゴイズムになってしまう。 

対策3・視野を広げ、学ぶ

 対策1と対策2の前提として視野を広げておくことが求められる。自国はもちろん他国の歴史から学ぶ。思想や哲学も含め、世界の常識やルールを把握する。これらはすべて、物事を考え、情報を送受信する基礎になる。

対策4・新たな連帯を形作る

 極が無くなり、エゴが表に出てきている中で、新たな成果を生んでいくには「共同主観」の形成が欠かせない。共同主観とは「皆が正しい、あるいは価値があると思う何か」(好川氏)を指す。チーム、企業、国家、社会、大きさにかかわらず、人が集まって活動するところでは共同主観を形作っていかなければならない。

 以前の記事『協調性は隠れみの、馴れ合いと迎合の場にとどまる日本の組織』の中で触れた通り、企業でいえば「企業に参加する個々人の主観を尊重しつつ組織をまとめていくよりどころ」になる。一企業の共同主観はそこに属する人々はもちろん、さらに社会や世界に受け入れられる必要がある。