横串人材が持つ3条件

 「現状把握とプロジェクト」を通じて横串を通すにあたってはチームに入るメンバーに、本題の「横串力」が求められる。多くのプロジェクトを見てきた経験をもとにibgの大西氏は全社の変革を推進し、価値を生み出せる人の特徴を3点挙げる。3点と大西氏の指摘を列挙する。

横串の活動そのものを自分自身で楽しめる

 「こういう風になるとよい、と自分たちが想い描く姿を目指して自由にやっているメンバーは実に楽しそうだ。プロジェクトメンバーが嫌々やっている活動には誰も寄り付かない」

他者・他部門・全社への貢献に意義を感じられる

 「周囲から感謝されたり関心を持たれることを自分の活動のモチベーションにできる人であれば横串役を継続していける。給与や賞与に結びつく人事評価の対象に横串活動を入れる手もあるがどうしても部門の本業の成果のほうが優先されてしまう」

身近な問題と変革活動を関連付けバランスを取って進められる

 「横串活動の狙いは個別最適ではなく全体最適が主になるが各部門や各担当者は自分の目の前の問題と関連付けられない限り、横串活動に乗ってこない。反発する人の声も丁寧に集め、目の前の問題に横串活動がどう関係するのか、寄与するのかをうまく説明する。できれば日頃から個別の問題にも対処し、信用を得ておく。そうした利害関係者を巻き込めるバランス感覚が必要」

 横串を通すとはそれぞれのタコつぼに「こうしてもらいたい」と指示することではない。タコつぼの現場にまで足を運び、担当者と相対して取り組む臨床的な姿勢が欠かせない。

ジョブ型よりもローテーションを

 3点を備えた横串力のある人材をどう見つけ、どう育てればよいか。「あの人は横串を通すのはうまい」とすでに認められている人はよいとして可能性がある人材をどう探すのか。

 「横のつながりに興味を持ってもらうところから始める必要がある。例えばメーカーなら最終の顧客で自社の製品をどう使い、どう成果を上げているかを知ってもらう。そうすれば自分の担当業務、隣の部門の業務がどうつながって顧客に役立っているかが見えてくる」(大西氏)。

 自社の価値がどう提供されているかを理解し、視野を広げることにより、「それができたら面白そうだ」と横串活動に目覚めてもらうわけだ。タコつぼをつなげることは楽しい、横串を通したら感謝される、といったことをたとえ横串活動に向いている人であっても気付いていなかったりする実態がある。

 感謝される経験を増やすのも手である。役立つことや良いことをしてくれた同僚にお礼の言葉やポイントを送り、社内で感謝のフィードバックループを回すツールが登場しているが横串力を強めるために使えるかもしれない。

 横のつながりに関心を持ったら「横」を体験してもらってもよい。日本企業には人事ローテーションの仕組みがあり、あるタコつぼから別のタコつぼに人を動かせる。前回の本欄で紹介した「新卒のときから事業を担当してきた30歳前後の若手をシステム部門に異動」させた成功例がそれに当たる。横串力を提唱してくれた読者は次の意見も寄せてくれた。