(写真:123RF)
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 「組織が機能するまでに数段階ある? この図を説明資料に入れないでもらいたい。我々は垂直立ち上げをするのだから」

 ビジネスコンサルティングを手掛けるインターブリッジグループ(ibg)のコンサルタント、池田光成氏は支援したプロジェクトのキックオフミーティングの準備中、顧客の経営幹部からこう言われた。「この図」とは心理学者のブルース・タックマンが提唱したタックマンモデルである。何かに取り組もうとチームをつくった場合、形成期(Forming)、混乱期(Storming)、統一期(Norming)を経て、ようやくチームの機能期(Performing)に入り、プロジェクトが終了すると散会期(Adjourning)に至る。

 池田氏はチームが機能するまでの4段階を示し、メンバーが衝突する混乱期に備え、お互い何をどう考えているかをあらかじめ話し合う、いわゆるレベルセッティングの場を設けようと提案した。だがプロジェクトに責任を持つ経営幹部は賛成しなかった。

 日本企業ではタックマンモデルへの反発はよくあることだという。インターネットで検索してみると「プロジェクトチームを機能させるためにタックマンモデルを知っておこう」といった解説記事がたくさん出てくる。にもかかわらずプロジェクトの責任者になる経営幹部やリーダーはこのモデルを嫌う。なぜだろうか。

大企業ほど勘違い

 ibgが見るところ理由は2点ある。第1は「チームをすぐに機能させたい」。プロジェクト責任者の気が急いていることだ。例えば事前検討に1~2年費やしてしまい、ようやくプロジェクトの開始を認められたものの、半年で結果を出せと経営者から言われたとしよう。責任者は「これから混乱期を迎える」などと書いた資料を見たくない。もちろんメンバーにも見せたくない。

 「お互いよく分かっている」。これが2番目の理由になる。チームの中心メンバーは事前検討にも参加しておりプロジェクトの狙いも課題も熟知している。新規に参加するメンバーは皆、同じ釜の飯を食った仲間であり認識のレベルは合っている。プロジェクト責任者はこう思いたがる。