こうした理由からプロジェクト責任者はチームの足並みを揃えるレベルセッティング活動を無駄だと決めつけ、省いてしまう。長い歴史を持つ大企業ほど、レベルセッティングができていないのにできていると勘違いする傾向が強いようだ。

 ibgの好川一(まこと)代表によると、勢い込んでプロジェクトを始めるものの「1~2カ月経ったころに決まってストームの状態に陥る」。レベルセッティングは不要と言った責任者はチームの混乱ぶりを見て「認識の差がここまであったとは」と驚くことになる。

 タックマンモデルによると混乱期を避けることは難しく、むしろそこでチームメンバーが共通の認識を持てるようにすればよいとされる。とはいえ混乱期が長引くとプロジェクトの日程に悪影響を与えるから、あらかじめレベルセッティングなど相応の手を打っておく必要がある(レベルセッティングについては記事『以心伝心の私たちが気付かない落とし穴』参照)。

関係者を巻き込める人材の3要件

 本連載ではいわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)人材について体系立てて述べてきた。DX人材の定義は「社内外の情報を使いこなして事業を変革(トランスフォーメーション)できる人材」である(記事『「デジタル人材」を巡る人事部の誤解』参照)。

 今回は「関係者を巻き込み、変革を推し進めていくにはどうするか」という点を検討する。混乱期を経たとしても、変革を担うプロジェクトチームを機能させられるのはどのような人材だろうか。様々なプロジェクトに関わってきたibgのコンサルタントに議論してもらい、次の3要件を挙げてもらった。