2・対話ができる

 当たり前だと思われるだろうがそうでもない。「プロジェクトの方針はもう決まったのだから黙って進めよう」あるいは「あれこれ議論していると手戻りしてしまう」などと対話を排除する姿勢をとるプロジェクト責任者は案外多い。タックマンモデルを嫌うのはこういう人だ。

 新しい技術や手法を採用し、変革を進めようというときには当然、様々な問題が出る。「何か変ではないか」と思ったメンバーが声を上げ、その意見について関係者がすぐ話し合う雰囲気がないと、いつまで経っても混乱期から抜け出せない。好川代表は「英語圏のビジネスで言うところのrespectがほしい」と指摘する。「あなたの意見はちゃんと聞いて参考にします。だから話してください」という態度がrespectだという。尊敬する、敬意を払う、と訳してしまうとどうも重苦しくなってしまう。

 「今回このツールを使うことを決めた。早く習得し、仕事を進めてほしい」と強要するプロジェクト責任者はメンバーへのrespectが足りない。

3・自分の言葉を持つ

 プロジェクトでも、変革活動でも、真剣に全体像を描き、関係者と対話しようとすれば、おのずと説明に使う言葉を自分なりに吟味する。相手に伝わるように説明しなければならないからだ。「そう言われてしまったら協力しないといけないな」と相手が納得する言葉や説明を見つけ出せる人がプロジェクトや変革活動を前に進められる。自分の言葉を持つには視野を広げて学ぶこと、言葉を他人と共有することが肝心である(記事『視座が低いと成果は小さい、どうすれば見渡せる所に登れるか』参照)。

 DXや垂直立ち上げなど、造語を安易に使うようでは混乱を助長しかねない。「立ち上げ」とは自動詞と他動詞が混じった変な言葉だが、PCに電源を入れ動かすことをこう呼ぶようになった。機械ならすぐに動かせるかもしれないが、人間が活動するプロジェクトチームをすぐ機能させることはできない。