(写真:123RF)

 人の採用や育成については誰でも口をはさみたくなる。

 「こういう人をもっと増やしたい」「時代は変わる。××人材を見出して教育するように」と社長をはじめとする経営陣は言う。××にはDX(デジタルトランスフォーメーション)とかデータサイエンスとかその時々の流行語が入る。

 「現場で一番足りないのは〇〇なのに経営陣も人事部門も分かっていない」「必要な人をきちんと採って回してもらいたい」と部課長が言う。〇〇には「足腰が強い営業」とか「きちんとモノを作れる技術者」とか現場の切実な要求が入る。

 経営陣の指示と現場の要求が一致していれば人事部門として動きやすいが、ずれているとやりにくい。人に関する専門組織として人事部門なりの意見は当然ある。それが経営陣の指示とも現場の要求とも違っていたらもっとやりにくい。

 「また始まったか。以前も××人材を採れと号令をかけられたが社長が交代したら沙汰止みになった」「現場の言う通りに〇〇を採って回してきた。それなのにすぐ辞めてしまう。現場が無理な使い方をするからではないか」

 やや誇張していると思われたかもしれないが上記には実際の人事担当者の声も入っている。本欄の読者の方から次の質問をいただいた。

[読者から]

情報システムを受託する立場です。『DX人材を見出して教育するように』と経営陣から指示があります。 しかし今回のコラム(記事はこちら)のとおり、DX人材とは情報システム戦略を立てることができる人材そのものだと考えております。DX先行ではなく、戦略を先に立案することが大切である、と誘導するには人事としてどのような行動が求められるでしょうか。

(情報・通信、従業員数100~900人)

 ご質問を受けて前回の本欄で「正攻法は人事として『我が社におけるDX人材』のグランドデザインを描き、そこで『情報システム戦略を立てることができる人材』と言い切り、経営陣を納得させる説明(言葉)を考え、対話することだろう」と取り急ぎお答えした。

 いただいた質問を「採用や育成について社長の考え、人事の考え、現場の考えが揃っていない場合どうしたらよいか」と読み替えると難しい問いになる。社長の指示に背いたら怒らせてしまう。現場の要望を無視したら喧嘩になるか、そっぽを向かれる。ビジネスコンサルティングを手掛けるインターブリッジグループ(ibg)のコンサルタントと共に対策を考えてみた。