イノベーションの必要条件は多様性(ダイバーシティ)である。今いる社員一人ひとりの個性と強みを引き出す。色々な国籍や出自の社員を集める。オープンイノベーションと称し社外の人材や組織と組んで仕事をやってみる。社員の副業を認め、NPO(非営利団体)などで働いてもらい外の世界を知ってもらう。

 健康面の課題は社員全員が元気で働けるようにすることだ。仕事を成功させ、新しいことができればメンタルヘルスの問題発生は減るはずである。併せて、何らかの病気になった社員を支え、仕事を続けてもらう仕組みも求められる。定年を延長すると従来よりも高齢の人が働き続けることになり病気を抱える社員の割合が増えていくが今後はそれが前提になる。かつてのように病気になったら休職させ一定期間後に退職してもらう、というやり方はできなくなる。

大きな目的を考えよう

 記述内容が徐々に明るくなってきた。前向きな課題を達成し結果として問題の解決につながる。これが理想だが、現実には問題解決策と課題達成策を組み合わせることになる。

 何をどう組み合わせるか、どういう順に実施していくか。企業や組織の状況によって異なるが現状に基づいて考え出すと問題解決に寄っていきがちである。現状の問題はすぐ目に入ってくるからだ。

 「人件費、時短、ハラスメント」と「成功、創造性、元気」と文字を並べて見比べると前者に取り組まないといけない気分になる。「きれいごとを言っている場合か」と大声を出す人がいるとますますそうなる。

 しかも前者の問題解決は結果が出るかどうかはともかく取り組みとして着手しやすい。問題を裏返し「××をするな」と指示すればよいからだ。大切なのは後者の課題達成に取り組むことだ。それには将来に向けた大きな目的が必要である。その目的が示す将来を想像し、現状の問題からいったん離れられる。

 大きな目的とは何か。片仮名を並べるとミッションやビジョン、パーパスと呼ばれるものだ。これらは良い意味で抽象的・定性的になる。創業の精神に立ち返ってもよい。「何年後に年商××円達成」といった具体的・定量的な目標は、金額をいくら積み上げても「大きな目的」とは呼べない。

 大きな目的の設定は経営者の仕事であるが人事部が考えてもよい。大きな目的を年初に部員が考えてみてはどうか。

 「人事」を広辞苑で引いてみると「人間に関する事柄」「個人の身分・能力に関わる事項」「人のなし得る事柄」とある。人事を担う人事部は人に関する事柄なら何をしてもよく、人事を尽くさないといけない。

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「人と仕事の未来 2019-2028」