しかも山本氏によると「ITを使って業務を改革できる人材像、そしてその育成がどういうことなのか、特に日本企業では理解が進んでいない」。これが第二の注意点である。

 同書は「ビジネスアナリスト」という人材像を提示する。ビジネスアナリストは「専門性を駆使し自社の業務プロセスを常に最適な状態に保ち続ける活動をリードできる人材」という。

 様々な現場の声を聞き、業務を調べ、分析し、複数部門にまたがる、より良い業務プロセスを設計する。必要があればITを使い、新しい業務プロセスを現場に定着させていく。日本企業でこうした専門人材の重要性を認識し、組織として育て、確保しているところは少ない。

 山本氏は日本企業に向けて「潜在ビジネスアナリスト」の活用を勧める。部署や肩書を問わず、何らかの業務改革に関わった経験を持つ社員を見つける。業務分析のやり方を教え、その社員がいる現場や改革が必要な部門で実践させ、周囲が支援する。当人が望めば専門人材として認知し、社内外の業務改革を担ってもらう。数が増えてきたら業務改革の専門部署をつくってもよい。

 兼務で改革を担う事例もある。「社内の業務改革部にいるビジネスアナリストが経理や人事のビジネス部門を兼務しており、その稼働の半分はビジネスアナリストとしてプロセス変革に、半分は通常のオペレーションに割くという会社があった」(山本氏)という。

 そのためにはビジネスアナリストと呼ぶかどうかはさておき、業務改革の専門人材の必要性を認め、重要なスタッフとしてしかるべき評価・処遇とキャリアパスを用意しなければならない。便利屋として使われ、しかもラインのパスを上がっていく同僚より待遇が悪いとなったら希望者は出ない。

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