それを懸念した当時の担当者が人材育成部署立ち上げの必要性を認識され、私に声をかけてくださいました。私は当初、このSkill Frameworkを活用してもらえればいいと思っていたのですが、果たして本当に組織に根づくのだろうかとも考え始めていました。組織外から戦略を立てる支援をするのでなく、組織の中で責任をもって変革する「チェンジマネジメント」に挑戦しようと、腹を決めて2014年5月に前職を退職。自分に何ができるかを1年間じっくり考えたのちにSOMPOシステムズに入社しました。改革には5年はかかると思いましたが、5年経った今もまだ終わりませんし、今も次々とやるべきことが増えています(笑)。

 以前は「現場で先輩の背中を見て育つ」OJTが主流でした。これからの変化の激しい時代では、職場の先輩を軸にするのではなく、グローバルで通用するITスキルを軸にして育成するというカルチャーに変えることが必要と考え、「可視化」「施策化」「制度化」の3フェーズで人材育成のマスタープランを立てたのです。2016年に企画から運営まで一貫して行う人材育成部を立ち上げ、2019年からは人事部門から独立し単独の部署として運営しています。

(出所:SOMPOシステムズ)
[画像のクリックで拡大表示]

――転職前にできることをじっくり考えたとおっしゃいましたが、その時既にこのマスタープランがあったのでしょうか。

宮田:Skill Frameworkで各人のスキルを可視化するフェーズや、本部ごとに育成体制を作り、個人のスキル向上計画を策定して体系的に研修を受講させるといった施策化フェーズまではある程度考えていました。ただ、施策化すればうまく回ると考えていたのは甘かった。施策化しても、会社の中に自ら勉強するカルチャーが根づいてなかったからです。だから制度化して、全員が「やらなければならない」状況にすることが必要でした。そこで人事制度と完全に連携し、認定の有無が昇格、給与とも連動する「スペシャリティ認定制度」を立ち上げたのです。

――制度を作った時からそれを明言しているのですね。

宮田:はい。組織の中で立場を変えながら自分を生かす、そのためのスキルを獲得していく、というのが本来のキャリア開発のあり方です。日本企業の多くでそうだったように、従来は会社による異動辞令や現場での実績でキャリアが形成されていく、会社任せのキャリア開発が普通でした。それでは、社員は自ら勉強しようという必要性を感じられない。そこで、キャリアを獲得するために認定という手段を提供し、その認定のために自ら異動希望を出したり、自ら認定に必要な資格を取りに行ったりするように、企業文化そのものを変えようという強い思いで制度を作っていきました。

――一気に変えた。それは経営層にも通さなくてはならないですね。宮田さんがそのプレゼンをされたのですか。

宮田:当時の担当部長と私の2人でプレゼンしました。変革を成し遂げるために制度にしなければならないと言い始めたのは私です。人事制度と紐づけなければならないという決断をしたのは担当部長です。それでタッグを組んで一緒に練り上げていきました。経営会議に何度もかけて、2017年に施行しました。

 さらにオーナー制にして、社員を巻き込んでいくことを考えました。社内で発言力があり、かつスキルがある人をオーナーとして社長が任命し、この施策の重要性や意義、認定基準、認定を取得した社員の活躍する姿などをオーナーの言葉で伝えたのです。これによって、短期間で社員の本気に火をつけることができたと思います。