目的別に複数のチャットルームを設定し、「使い倒す」ことを奨励(出所:SOMPOシステムズ)
目的別に複数のチャットルームを設定し、「使い倒す」ことを奨励(出所:SOMPOシステムズ)
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――もともと文字だけのコミュニケーションが得意ではなかった新入社員も、これらの研修をこなせたのですか。

宮田:基礎力をつけるために自分の考えを瞬間的に言葉にして文章化する「ゼロ秒思考トレーニングを日課に取り入れました。『ゼロ秒思考』(赤羽雄二著)を参考にしたもので、1回1分間、1つのお題について思ったことを書き切ります。目標は20文字程度の5つの文章が書けること。これを1日に5回繰り返します。お題は「モチベーションを高く保つためには」「直近で笑った出来事は」など様々です。このお題を全員が見られるチャットルームで出題し、各自が各担任ルームに回答、その後グループメンバーで共有します。これを3カ月半続けた結果、初めは単語の羅列程度だったものが、自分の考えの背景や理由を端的に表現できるようになっていきました。リモート化で新入社員同士のコミュニケーションが非常に少なくなるなかで仲間のことを知るきっかけとなり、孤立感の軽減にも寄与したと思います。

オンラインで毎朝訓話、社会人意識を醸成

――チャットを使い倒した成果はいかがですか。

宮田:2つの収穫がありました。1つは質問がたくさん出るようになったことです。集合研修よりもチャットの方が質問しやすいので、プログラミング研修でも多くの質問が出ました。ユーザー系IT企業の当社では、新入社員の3分の2が文系で入社時のITスキルはほとんどなく、研修で習得します。オンライン化した今年も例年に変わらずスキル習得度が高かったのは、質問しやすかったからでしょう。

 もう1つの効果は、復習の効果が高まったことです。チャットの特性として履歴が残りますので、毎週金曜日の復習の時間では、討議内容や、他の人の意見の履歴をたどりながら復習できます。目的と人数でチャットルームを設計したことも検索性を高めるポイントだったと思います。

――今年の新入社員は会社に来る機会が少ないため、会社への帰属意識や、社会人としての自覚が生まれにくいとも言われています。

宮田:社会人としての意識は毎日出社する中で生まれてきますが、それができない今年は出社に相当するものが必要です。当社では私が今まで得た教訓や、新入社員の頃の話を伝えるコラムを毎朝チャットルームに投稿してきました。「人脈の大切さ」「ファーストペンギンについて」といったテーマで、毎回A4用紙1枚程度の分量で書きます。4月から始め、8月で約90回になりました。私もこれだけ集中してアウトプットをしたのは初めてでしたので、コラムを読んだ新入社員や担任役の人材育成部メンバーにも参考になったと思います。