2つ目は、遅れてスタートする38人の意識を高めるためです。自分が先行メンバーに選ばれなかった経験は、同じカリキュラムをこなしてきた分、少なからずショックを与えます。このことが彼らの内省につながり、さらに一段高い意識で取り組めるようになります。長い社会人人生で「選抜」は避けては通れません。

 プロジェクトは、私が口頭で伝えた内容を基に彼らがプロジェクト計画書を書くところからスタートします。PBL手法で、要件定義・設計・テスト・リリース・保守運用まですべて自分たちで経験します。そして、計画と実態が大きくかけ離れてプロジェクトが崩れ始めるまで彼らの思う通りに運営させます。

 彼らは、「計画通りに進める」「自分のことは自分でやる」のが当然だと学校教育で習ってきたので、自分の担当部分が計画から遅延してまだできていないと他の人に言えない。だからプロジェクトが崩れます。大きく崩れたところで、初めて仲間と状況を共有し意思疎通することの重要性を痛感します。その翌日からコミュニケーションが改善し、プロジェクトの進捗がV字回復していくのが分かります。新入社員研修期間でも「報連相」の重要性は何度も伝えています。しかし、この現象は過去3回のFast Pathすべてで起こっています。体験することの大切さを実感しています。

――Fast Pathの目標設定と評価はどのように行っているのですか。

宮田:彼らへ渡す課題と分量を絞り、通常なら2カ月で発注する内容を4カ月間かけてスコープ管理します。彼らを評価するクライアントは社内1700人のエンジニアです。もちろん社長にも評価してもらいます。「社内顧客」は全く遠慮がないので充実したフィードバックが得られます。彼らは初めて「お客様」の存在を身近に感じ、自分たちが作り上げたツールが使われている場面を目の当たりにします。これはとても大切なことで、システム開発に携わる動機の原点と言えると思います。

 Fast Pathは今年7月、次の段階へ進んでいます。スペシャリティ認定制度にチャレンジする前の若手層を主なターゲットに新しい学び方の提案である「Open Fastpath」をスタートしました。

「正解のない世界」で最善を選び続ける力を持った人材に

――Open Fastpathは誰でも参加できるのでしょうか。

宮田:はい。若手が多いですが幅広い年齢層の社員が参加しています。部署や専門に関係なくいつでも気軽にオープンな場でのモノ作り(ソフトウエア開発)が体験できるカリキュラムです。Open Fastpath では、共通した「1つの問題」を解決するため様々な技術でアプローチします。バーチャルで回していきたいと考えていたところ、新型コロナに遭遇しました。リモートワーク環境であることを生かし、自宅PCに自分で環境を構築することからスタートします。従来のeラーニングのように「すべてうまくいく」「できて当然」ではなく自分で試行錯誤すること、基本的には独学で学ぶことに力点を置いています。

Open Fastpathでは、共通した「1つの問題」を解決するため、参加者それぞれが様々な技術でアプローチする(出所:SOMPOシステムズ)
Open Fastpathでは、共通した「1つの問題」を解決するため、参加者それぞれが様々な技術でアプローチする(出所:SOMPOシステムズ)
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