全世界で約30万人のメンバーが共通のPurpose(理念)に基づき業務を遂行するアーンスト・アンド・ヤング(EY)。会計監査、税務、コンサルティングなどを提供するサービスラインのメンバーファームの総称がEY Japanだ。保守的なイメージのある業種ながら、早くから経営戦略としてD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)に取り組み、企業風土改革を行ってきた。D&Iの施策やニューノーマルの働き方について、EY Japan会長兼CEO(最高経営責任者)でありJapan Regional Managing Partnerとして国内のメンバーファームを率いる辻幸一氏に話を聞いた。(取材=大塚 葉:日経BP総合研究所 HR事業部 上席研究員、文=加納 美紀)

――2008年からEY Japanの全女性メンバーによるネットワーク「WindS(Women’s Interactive Network for Dreams and Success)」を発足させるなど、早くから女性活躍を推進しています。

辻幸一氏(以下、敬称略):EYグローバル全体としてD&Iの取り組みを開始したのは早かったのですが、中でも日本のWindSは他国に先駆けて発足しました。EYの中でD&Iや女性活躍推進という言葉が使われ始めてすぐに、「EY Japanとして女性の活躍を推進しよう」と考えをまとめてスタートしました。

EY Japan 会長兼CEO 辻 幸一(つじ こういち)氏
1957 年生まれ。中央大学商学部会計学科卒業。早稲田大学大学院経済学研究科修了後、Peat Marwick Michel会計士事務所(港監査法人、センチュリー監査法人を経て現EY新日本有限責任監査法人)入所。1989年よりスイス・チューリッヒに駐在し日系金融機関現地法人に対するアドバイザリー業務に従事。1993年帰国後、日系金融機関、外資系金融機関などを中心に監査業務に従事。パートナー、シニアパートナーなどを経て2016年2月EY新日本有限責任監査法人理事長、EY Japan County Managing Partner就任。2019年7月EY Japan 会長兼CEO、Japan Regional Managing Partnerに就任。(写真提供:EY Japan)

辻:監査法人というと“保守的なイメージ”があるかもしれませんが、会計士の資格を基に仕事をする業種です。もともと優秀な人材なら性別に関係なく採用してきた土壌があったため、女性活躍の場を広げようという機運が高まりやすかったのです。

 WindS発足後、EYのグローバルなLGBT+(LGBTとLGBT以外の指向)の支援グループ「Unity」が日本でも2013年に発足するなど、D&Iの取り組みが広がりました。2017年にはUnityメンバーからの誘いもあり、LGBT+の啓発イベント「東京レインボープライド」に私も皆と一緒に参加しました。2017年以降、EY Japanからのパレード参加者は毎年100人を超えるなど、EY Japanメンバーの個人レベルの行動が大きく変わりました。